SMILE!
2
ひょこと扉の陰から流星が顔を出し、手招きする。
「話し終わったにゃ?そろそろ行こう。きっと、みんなが待ってるよ」
今度は逆におれが和泉の手を掴み、引っ張る。
「……食べ物は、魚が好きだ。ウインナーは嫌い。花は、いっぱいあって分からない…色は緑…これでいいか?」
手を掴んで歩きながら言うと、和泉は満足そうに笑った。それと逆に流星は不満そうな顔になる。
「えー、なにぃ…僕も仲間にいれてにゃー」
少しふて腐れる流星はまた背中にひっつく。
そのまま引っ付けた歩く。
「……胡蝶蘭、カーネーション、サンダーソニア、かすみ草…」
「好きな花なのにゃ?」
「…ああ」
他にもいっぱいある。
シクラメン、ペチュニア、コスモス、アネモネ、サルビア
言えないくらいたくさん
さすがに花言葉までは覚えていないけれど。
「好きなんだな、花」
和泉の言葉に頷く。
好きじゃなかったら、きっとこの仕事は出来ない。
花を見てると幸せになれるから
「八くん、僕にもかまってよー」
「…十分かまってる」
文句を言う流星を無視していると、隣から視線を感じた。それはもちろん和泉で、和泉に視線を向ける。
「……何だ…?」
「いや、ハチ公と佐々はそんなに仲が良かった、のか?」
「ふかぁーい仲だにゃー。昨日言ったでしょ?そういう取引をしてるって」
「……取引の事、言ったのか…」
ひっつく流星をじっと見ると、ニコリと笑って頷く。
「話しの流れでつい言っちゃったにゃー」
「……おしゃべりな、奴…」
ついって何だ。知られたくなかったのに。
ほんと、流星は口が軽い。言わなくていい事を言うし、重要な事は言わない。
「だからぁ、僕は前からおしゃべりなのー。仕方ないにゃ、話したくなるんだもん。優越感に浸りたいでしょ?」
「…優越感…?」
「んーとね、僕だけしか知らない八くんがいるんだよーって。ねぇ、上総くん」
ちらりと和泉を見ると、なんとも言えない顔をしている。
眉間にシワを寄せて、少し不機嫌そうだ。
「もっと優越感に浸ろうかにゃ」
流星がニヤリと笑って示した方には、隠岐や加賀谷達、皆がいた。
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