SMILE!
2
頭に触れたまま、屈んで香西と目線を合わせる。
「……雨の日に、してくれて…ありがとう」
「…ッ、」
そのおれの言葉に、香西の瞳からさっき以上に涙が溢れた。
お礼を言うのは間違っているかもしれない。だけど、香西は雨の日を選んでくれた。きっと雨じゃなかったら、もっと酷いことになっていただろうし、大事になっていた。
だから、少しだけ…ありがとう。
「……ちゃんと、今から反省するんだ。それから、おれの話し相手になってくれないか…?」
少し口元を緩めると、香西はきょとんとしていた。
「な、なに言って…、さっき、許せないって」
「…ああ。だけど香西と話してみたいと、思ったから」
こんな出会い方じゃなければ、きっと仲良くなれた。
香西は顔を歪めて、頭に乗っていたおれの手を振り払う。
「…っアンタ、馬鹿…ホント馬鹿だよ」
それは本気で言っているわけではなく、照れているような、そんな感じだった。
泣き止まない香西を見ていると、背中に何かがのしかかる。何か、といっても一人しかいないが。
「話終わったかにゃ?」
「…流星、重い」
「僕、そんな重くないにゃー」
十分、重い。
お前は、全体重をおれにかけてるじゃないか…
ぐでー、と体重をかけてくる流星を支えていると、流星は前方…、香西の後ろを指差した。
「あ、来たにゃあ」
香西が振り向いたそこには、和泉がジャージ姿で歩いて来ている。
そういえば今日から練習だって言ってたな。
「…なんで、」
驚く香西に流星は笑う。
「僕が呼んだんだにゃ。君がべに様だったって事も、昨日の事も…君の気持ちもぜーんぶ教えちゃったぁ」
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