SMILE! 3 side.依鈴 「ッ、何で、」 イライラする。 自分にも隠岐にも…八さんにも いつもこうだ、隠岐が関わっていると、八さんにも苛立つ。 八さんに言った事、あまり後悔はしていない。少し、言い過ぎたかもしれないと思ったが、止まらなかった。 …八さんは人の気持ちを踏みにじったりしない。取り消そうとしてももう手遅れだが。 八さんは望んで隠岐に抱かれたと言った。 それにムカついた。ただの嫉妬。 嫉妬だけなら、まだあんなにキレる事はなかった。たぶん キスを抵抗されたのも嫌だった。そりゃ、無理矢理したから抵抗するのは当たり前かもしれないけど、隠岐は良くて何故俺は駄目なんだと、汚くて醜い感情が湧く。 八さんに噛まれた舌が、痛い。 楢木に無理矢理犯されたらしいと昨日上総先輩に聞いた時でさえ、何故俺に言ってくれないんだ、とほんの少し憤りを感じた。 何度言ったって八さんは俺に頼ろうとはしない。 迷惑をかけたくないと、八さんは言うが、俺からしてみれば信用されていないんじゃないかと、感じてしまう。 好きな相手にだってイライラする時はある。 本気で好きだから、尚更。 俺の言った言葉で、すごく傷付けた事は分かってる。 でも、それは俺の本心。 少しでもいいから、それを分かってほしい。 「…泣いてた、よな」 最後、八さんの声が震えていた。泣かせてしまった罪悪感はある。 だけど、 ごめんなさい、俺はしばらく貴方と距離を置きます。 . [まえ][つぎ] [戻る] |