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SMILE!
2



ベッドに座る隠岐の隣に少し距離をあけて座った。


「お前、楢木に襲われる前、誰と話した」


隠岐はそれを聞きに来たのか?
楢木先生に襲われる前って…あの時、おれは…


「……な、んで…そんな事、」


聞くんだと言おうとしたが腕を掴まれ、驚いて口を噤んだ。


「言え。誰と話した?」


隠岐にしては珍しく、ほんの少し焦ったような顔をしていた。
黒い瞳が、揺れていた。
隠岐もこんな顔するんだな、と全く関係ない事を考えていた。
高校生なのだから当たり前なのかもしれない。むしろ、もっといろんな表情をしてもいいくらいだ。
おれが言えた事じゃないけれど


「おい、」


腕を掴む隠岐の力が強くなる。
隣に座る隠岐を見ると、眉間にシワを寄せていた。


「……え、あっ…えっと、話したというか…助けた…?」


疑問形なのは許してほしい。


「誰をだ」

「……鶴岡」

「赤塚と一緒にいる奴か」


コクンと頷くと、また腕を掴む手に力が入った。
痛い…けど、隠岐の顔が怖くて何も言えなかった。


「糞野郎が、」


低い声で隠岐はそう言うと、携帯電話を取り出し、操作し始めた。
誰かにメールをしているみたいだった。
この時もう、べに様…鶴岡は、姿を隠していた。そんな事、べに様の正体すら知らないおれは、知るよしもない。もちろん隠岐も。
誰も、鶴岡の居場所を知らない。


「…鶴岡が、どうかしたのか?」

「お前は黙ってろ」


手の平で口を押さえられ、ギロリと睨みつけられた。
鶴岡の事を聞いただけで、そんなに怒らなくてもいいだろう…


「これ、楢木か」


隠岐の視線がおれの顔の下…、正確には首に向いている。口を押さえている逆の手で、スルリと首筋を撫でられた。


「…っ…」


そんな所、楢木先生には触られてない。何があるのか知らないが、触れたとすれば桐也先生くらい…のはずだ。
隠岐は何をそんなに気にしているんだろうと考えていると、首に隠岐の顔が近づいた。それと同時に口を押さえていた手が離れた。


「……隠岐…?」

「…悪い」


…謝った、のか…?
それは何に対しての謝罪なんだ。
おれが親衛隊の制裁を受けているから?だから、謝ったのか?



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あきゅろす。
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