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SMILE!




夢を見た。すごく幸せな夢。
大切な人が、おれを迎えに来てくれる。
迎えに来たぞー、ってその人はおれを抱きしめてくれた。暖かくて、その温もりが懐かしかった。
会いたくても会えない、たった一人の親友。きっともう会う事はない。どこにいるのか分からないのだから。

でも、夢で会う事が出来た。
それで十分。これが正夢になれば、どんなに幸せな事だろうか。
そんな奇跡は、起こらないだろうけど。もし、もう一度会えるなら、笑って話したい。


「………む、つ…」


ゆっくりと目を開ける。
見慣れない部屋にきょろきょろと辺りを寝たまま見回す。
どこだ…って、理事長室の仮眠室だ。良仁さん待ってる内に、寝てしまったのか。
ふと窓の外を見ると、空が赤く染まっていた。


「……!」


おれはどれだけ寝てたんだ、
昼前からここにいてすでに夕方。
ああ、まずい。また良仁さんに迷惑をかけてしまった。ベッドから飛び起きて仮眠室から出る。


「あ、八君、起きたのかい」


良仁さんはおれに気付くと、ニッコリ笑った。良仁さんはソファーに座り、ノートパソコンを操作していた。


「……す、みません…おれ、寝てしまって…」

「いいよ。八君、気持ち良さそうに寝てたから、起こしちゃ可哀相だったしね」


すみません、ともう一度謝り、軽く頭を下げた。


「八君、こっちへおいで」


良仁さんはソファーをポンポンと軽く叩き、おれを呼ぶ。良仁さんの隣に座れば、優しく頭を撫でられた。


「何かいい夢でも見てたの?」

「…ぁ、はい…親友、の…」


前に一度だけ、良仁さんに話した事がある。大切な人だったと。



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あきゅろす。
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