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SMILE!
処分 side.良仁



八くんを仮眠室に置いて隠岐くん達が待つ理事長室に戻る。


「岩代くんわざわざありがとう。助かったよ」

「いえ。では、僕は戻りますので。失礼します」


私に頭を下げて岩代くんは、理事長室を出て行った。


「それじゃあ、本題に入ろうか。楢木先生、座ってもらって結構ですよ。その方が話もしやすい」


楢木先生をソファーに座らせ、コーヒーを出し、反対側に座る。


「楢木先生、何か言い訳があるなら聞きますよ」


ニッコリ笑うと、楢木先生は顔を真っ青にした。それでも言い訳はあるのか、口を開く。


「わ、私はっ、ただあの用務員を教育していただけでっ」


急速に頭が冷えた。
ふざけた事を言うね。今の時代、体罰は問題になっているのに。相手は生徒ではないけれど。
あの子にはもう教育は必要ない。しっかりしているのだから。楢木先生より、よっぽど。教えるとしたら、もっと別の事だ。


「楢木先生の方が教育必要なんじゃないですか?」


真顔で言うと、楢木先生の座るソファーの後ろに立つ加賀谷くんが、口に手を当てて笑いを堪えていた。
いや、加賀谷くん笑ってる場合じゃないからね。真面目に言ってるんだけどなぁ

楢木先生は殴られ腫れた顔を歪めて、私を見る。加賀谷くん辺りが殴ったんだろうね。和泉くんはそんな事しない気がする、性格的に。そう思っていたら、楢木先生はまた話し始める。


「理事長っ、私は生徒に殴られてるんですよ!?何故、私ばかりが責められなければいけないのですかっ!」


楢木先生の言う事も一理ある。
でも、楢木先生貴方はあの子を殴っただけではないよね?
前に木野くんが、八くんが襲われたと言っていた。その犯人は楢木先生だろう。


「大丈夫ですよ?楢木先生を殴った生徒にも処分は下しますから」


楢木先生の背後で加賀谷くんと和泉くんが放心状態になっていた。
和泉くんも殴ったのか。意外だなぁ。大丈夫だよ、反省文程度にするから。


「楢木先生、貴方はやり過ぎた」


私の大切な子に手を出して、ただで済むと思っていたのかな。
もし手を出したのがあの子じゃなくても同じ事になっていただろうけど。多分ね。
ただ楢木先生の事は、一生許せそうにないけれど。許す必要もないだろう。



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