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SMILE!
理事長室へ



「ぎゃぁあー!!はっちゃんの顔がーっ!」


保健室に入った途端、真樹先生がそう叫びおれの身体を確認するように、ぺたぺた触る。


「顔以外、怪我してない?」

「……はい、大丈夫です…」


真樹先生に促され、椅子に座る。鈴はおれの後ろに立っていた。
濡れたタオルで顔を拭かれ、赤く腫れているだろう左頬に湿布のようなものを貼られた。熱を持っていた頬がひんやり冷えて気持ちよかった。


「よし、これでいいわ。しばらくは跡が残ると思うけど、すぐに治るから安心してね」

「……はい」

「それで、誰にやられたの?」


ニッコリ笑う真樹先生。
だけど、目は笑ってなかった。
ひくりと口元を引き攣らせる。楢木先生だと言うべきかと悩んでいると、おれの後ろから鈴が一言。


「楢木ですよ」


…まあ、いつかはバレると思っていたけど…そんなすぐ言わなくても、


「ちょっと首の血管切ってやろうかしら、ふふふ」


キラリと光るよく切れそうなハサミを持って真樹先生はあくどい顔をして笑っていた。
怖い…

恐ろしい真樹先生を宥めていると、ガラリと保健室の扉が開いた。


「……岩代…?」


少し楽しげな岩代はおれを見ると、手招きした。
なんだろうと近寄る。


「手当て終わってるみたいですね。今から理事長室に行きますから、ついて来て下さい」

「……え、今から…?」

「ええ、そうです」


何か文句でもあるんですか?とでもいうような顔をする岩代に、わかったと言うしかなかった。


「半木は風紀に戻って下さい」

「…分かりました。じゃあ俺も一緒に戻ります」


そういえば、生徒会室と風紀管理室の上が理事長室だったっけ…


「それじゃ、いきましょうか」

「はっちゃん、また来てね」


真樹先生に頭を下げて、保健室を出た。
最近は怪我の手当てとして保健室に来てるから今度は普通に遊びに来ようと決意した。

エレベーターに乗ったのはいいが、なんか気まずい空気だった。鈴と岩代は仲良くないのだろうか。
二人を交互に見ていると、岩代と目が合った。


「なんですか?」

「……いや、あ…二人は、仲悪い、のか…?」


おれの言葉にポカンとした岩代。
…何か変な事言ったか?



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あきゅろす。
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