SMILE! 2 考え込んでいると電話の向こう側から、楢木はまた動く可能性があると。 「上総に見張らせるか、風紀のあいつなら怪しまれないだろ。オレ達よりは」 そうだなと言った向こう側の相手は何やら考え込んでいた。 何を考えてんだかオレにはさっぱり分からん。 「お前のやり方が正しいとオレは思わねぇよ。むしろオレは間違ってると思う」 人を犠牲にして、自分の願いを叶えるなんて間違ってる。 「だけど、綺麗事ばっか言ってられない事も確かだ。お前のやり方が1番手っ取り早いからな」 だからこそ、協力している。 「お前は悪役だからなぁ」 笑ってそう言うと、てめぇだけには言われたくねえなと鼻で笑われた。 オレは、すっげぇ優しい生徒会長様だろうがよ。 《さっさと見つけ出す。何をしても、だ》 「了解」 それだけ話すと、電話を切った。そして、そのまま上総に電話をかける。 《……一沙、か…》 「…お前、今起きただろ」 上総にとって土日は昼まで寝るのが常識らしい。 《…まだ9時、だぞ。起こすなら、12時以降にしてくれ》 「お前な、」 真面目なのか、不真面目なのか、分からねぇ。 「まあいい。お前に頼みたい事がある」 《面倒事じゃないだろうな》 「楢木を見張れ。…江夏八でもいい」 《…何かあったのか》 寝ぼけた声から、一気に真剣な声になる上総に隠岐から聞いた全ての事を話す。 《…そうか、分かった》 「頼んだぞ」 上総との電話も終えて、携帯電話をテーブルの上に置く。 これで楢木を抑える事が出来ればべに様に近づく事が出来る。 早く動け、楢木。 . [まえ][つぎ] [戻る] |