SMILE!
4
「このまま、キミを殺す事だって出来る。そしたらさぁ、利用されなくて済むよ?」
その言葉に緩く首を振る。
「……お、れは…優しくない、臆病で…、自分の、事…しか、考えて、ない…」
優しくなんて、ない。
自分の事で精一杯で、何の役にも立たなくて邪魔になるだけ。
隠岐に利用されているかもしれないけど、それはおれが役に立っているという事。
何であれ、誰かに必要とされている、それでいい。これは綺麗事だろうか?
「…キミは、馬鹿だね」
佐々は首から手を離した。急に入って来た空気に咳込む。
「これから何が起こるか分からないよ?べに様はキミを殺そうとしている、それでもいいの?」
深く頷く。
これを乗り越えなければ、前には進めない。
「八くん、首痛かったかにゃ?ゴメンにゃー?僕、綺麗事言う人、大っ嫌いで、思わず絞めちゃったにゃー」
思わず、で首を絞められたこっちの身にもなってほしい。
「ね、八くん、取引をしないかにゃ?」
「……取、引…?」
首を傾げると、佐々は楽しそうに笑った。
「僕は傍観者。だけど、八くんになら情報をあげる。べに様が次に何をするのかを」
「……助けて、くれるのか…?」
「助けるとはちょっと違うかにゃー。僕は教えるだけ。行動するのはキミ。あくまで僕は傍観者」
情報を与えるからあとは自分でどうにかしろ、と。でも情報がないよりは、いいかもしれない。
「でも、条件があるにゃ」
「……条件…」
「そんなたいした条件じゃないにゃー。情報に見合った分の八くんをちょーだい」
…ど、ういう事だ…?
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