SMILE!
木野深雪
「無理だ、」
そう言った木野はおれの手首を掴み、歩き出した。
「…っ、木野…離し、」
「だから、無理だって言ってんだろ!」
ビクッと肩を震わせると、木野はバツの悪そうな顔をした。
「…わりぃ。だけどな、お前をこのままひとりには出来ねぇよ。お前ん家、こっちだったよな」
木野は再び歩き出した。
家に入ると、ベッドの上でシマが寝ていて少しだけ安心した。
「江夏、何もしねぇから、おとなしくしててくれ」
「……っ…!」
木野はおれを抱きしめて、背中の破れた服の隙間から手を入れて来た。
何も、しないって…言ったのに
「……っやめ、」
「確認するだけだって!」
抵抗するおれを木野は力いっぱい抱きしめ、押さえ付けた。木野の手が下着の中に入り込み、指が秘部に触れた。
「……っ木野…!」
「…さっきの、何もしねぇって言ったの撤回する」
木野はおれの手を引き風呂場へ行く。洗面所につくと、木野はブレザーを脱ぎ捨て、おれの服に手をかけた。
「……な、に…、嫌だ」
首を振る。
もう、あんな思いはしたくない。
「大丈夫だ、信じろ」
今度は優しく抱きしめられ、子供をあやすように背中を叩かれる。
「そのままにしとくと、腹壊す。お前、自分では出来ねぇだろ」
…中のを出さなければいけないのか…?自分で、って…指入れて?
絶対に、無理だ。
「……どう、すれば…いい」
木野と目を合わせる。
正直まだ怖いし、あまり人に触れられたくはない。だけど…いつまでも怖がってられない。
「心配するな、痛くない」
おれが怖がっているのが分かったのか木野は笑って頭を撫でた。
「服、脱げるか?」
「……、」
深く一度頷く。
服を脱いだおれの手を引き、木野はお風呂場に行きシャワーの蛇口を捻り、お湯を出す。
木野に指示され、壁に手つく。熱めのお湯を頭からかぶる。お湯が背中の傷にしみた。
おれの背後に立つ木野は、背中の傷を指でなぞった。
「……っ、」
「すぐに終わらせてやるから」
木野の言葉に何度も頷く。
そういえば、木野は服着たままだ。ブレザーは脱いでいたけど、濡れてしまうんじゃないのか…と心配していたが、すぐにそんな事考えてられなくなった。
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