SMILE!
2
「……真樹先生は、どうして…おれに、キス…するんですか…」
「え?」
一瞬ポカンとした真樹先生は苦笑した。
「はっちゃん、とりあえず服着ましょうか」
「……あ、はい」
つなぎを手渡され、また視線を感じながら、服を着た。
二人並んで、ベッドに座る。
「あたしがキスする理由、だったわね」
「……はい、」
真樹先生はおれと目を合わせ、にっこり笑った。
「はっちゃんが好きだからよ」
「……へ、」
え?好き…?
それは、どういう意味で?友情、家族…それとも、恋愛?
「はっちゃん、何かあったんでしょ?そうじゃなきゃ、こんな事聞かないわよね」
「……わから、なくて…どうして、おれに…、おれなんかに、キスをするのか」
好き、だから?その好きにはどういう意味がある?
「あたしは、本当にはっちゃんが好きだからキスしたいと思うわ」
両手で頬を包み込まれる。
大きくて暖かい手に、安心した。
「……おれ、が…好き…?」
「ええ、そうよ。もちろん恋愛感情でね」
ふわりと笑った真樹先生は、誰よりもかっこよかった。
「本当はね、まだ言うつもりなかったんだけど、はっちゃん悩んでるみたいだったし……あら、はっちゃん、顔真っ赤よ」
告白されたのなんて、初めてだし…すごく、恥ずかしい。
心臓が、うるさい。壊れそうだ。
「はっちゃん、他の人は知らない。だけどあたしは好きだからキスするの。わかった?」
「……う、は、はい…」
「ああ、あと返事はしなくていいわ。本当に好きな人が出来たその時に、答えを教えて」
一度だけ頷いた。
本当に好きな人、おれにも出来る日が来るんだろうか。もしかしたら、真樹先生かもしれないし、違う人かもしれない。それは、おれ自身にも分からない事だ。ただ少しずつ好きという感情を分かっていければいいと思う。
「という事で、キスしていいかしら?」
どうしてそうなる…
抵抗する前に真樹先生の顔が近付き、唇が触れた。
「……っん…」
いつもと同じ触れるだけのキスだったのに、真樹先生の気持ちを知ったせいか、とてつもなく恥ずかしかった。
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