SMILE!
意味
「……、」
痛い。
地味に痛む足を庇うようにその場にしゃがみ込んだ。抱えた膝に頭を埋める。
足が痛いだけじゃない。
混乱してる。鈴にキスされるなんて思ってなかった。
…消毒、って
キスって好きな人とするものだ。じゃあ、鈴はおれ、が……いや、そんなわけない。
隠岐や岩代、大神にもキスはされた、だけどあれは遊びだと。それ以外理由がない。真樹先生は…わからない。
…鈴も遊び?いや、鈴はそんな事しない。
どうしてこんなに悩むんだろう。それは相手が鈴だから…?
初めて仲良くなった生徒で、いつも心配してくれる。でもそれだけの関係。用務員と生徒。
それは、鈴以外の皆にも当てはまる事で考えると悲しくなった。
「…真樹、先生のとこ、行かないと、」
いつまでも考えても答えは出ないし、悲しくなる。それにこういう時、真樹先生は相談に乗ってくれるから。
頭の中は相変わらず、混乱しているけど、いつまでもうじうじしているわけにもいかないので、立ち上がって、温室を後にした。
保健室の扉をノックすると、中から真樹先生の声が聞こえた。
「……失礼、します」
「ちゃんと来たわね」
保健室に入ると、くしゃりと頭を撫でられた。
そりゃあ足痛いし、真樹先生に怒られたくない。
「よし、手当てしましょうか。はっちゃん服脱いでね?」
「……」
手当てには仕方ない事なんだけど、とてつもなく恥ずかしい。
昨日もそうだったけど、視線がいたい。躊躇っていると真樹先生はおれの服に手をかけてニッコリ笑った。
「あたしが脱がせてあげましょうか?」
「……い、いや遠慮、します」
「あら、そう?」
真樹先生から離れ、ビシバシと視線を感じつつも、つなぎを脱ぐ。
「はっちゃん、そこに座って」
真樹先生に促され、イスに座る。前に座った真樹先生は早速ガーゼの交換をし始めた。真樹先生の手つきが優しくて、あまり痛くなかった。
「……真樹、先生」
「ん?痛かった?」
「……いや、あの…そうじゃなくて、」
口を開けたり閉じたりしていると、交換を終えた真樹先生はどうしたのと優しく頭を撫でた。
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