SMILE!
2
加賀谷は、笑いを堪えようとしているが、肩が震えている。
「一沙、」
岩代が加賀谷を咎めて、やっと笑うのを止めた。
「笑ってる場合じゃねぇな。…赤塚、お前自分が何をしたか分かっているか」
「オレは何もしてない…!」
食堂にいる親衛隊に所属している全ての生徒はたぶん、赤塚の事をよくやったと褒める。
容姿が綺麗な赤塚と、生徒に嫌われている、もやしのはちゅ。親衛隊は確実にはちゅを標的に選ぶ。
「何もしていない?オレにはお前が江夏八を押したように見えたがな」
結局生徒会も赤塚風大という人間は嫌いなんだろうなぁ。現に赤塚を助けようとする奴は誰一人いない。
「…それはっ…な、なぁ省吾っ!オレ何もしてないよな…!」
いつまで、逃げれると思っているのかなぁ?いい加減、現実をみたらー?
「さぁ?知らない」
大神がそう言った時の赤塚の顔は絶望感に充ちていた。
「なっ、何でそんな事言うんだよ!オレ達、友達だろ!」
「僕、キミの事友達だって言った覚えはないけどね。ただ同室だから、トモダチのふりをしてただけ。もう嫌なんだよね…バカに付き合うの」
冷めた目で赤塚を見ていた。赤塚は俯き、ボロボロ涙を流す。
いい気味。
「…っぅ…な、んでッ…」
なんで、どうして
それしか言えないワケ?
赤塚は近くにいた晃雅に縋り付いた。
おれ達の事、サイテーとか言っておいて、助けを求めるんだ?
ねぇ、矛盾してるよ?気付いてないの?
「ッなんで……、なんであの人なん―」
赤塚の声を遮って、バシィッと高い音が響いた。
それは晃雅が赤塚の頬を平手打ちした音で、赤塚は叩かれた頬を押さえ呆然としていた。
「糞餓鬼が。調子にのってんじゃねえ」
晃雅の言葉にまた涙を流し、赤塚は食堂から飛び出した。
「っ風大…!」
逃げ出した赤塚を美少年くんが追いかけた。
よかったねー、心配してくれるトモダチがひとりいて。
騒然となる食堂に、晃雅の声だけが響く。
「行くぞ」
「はいはーい」
はちゅの様子も見たいしー。
てか、飯食ってない。
あーあもう、晃雅と赤塚風大のせいだー。売店で何か買っていかないと。
「隠岐、待て」
食堂を出て少し歩いたところで、誰かがおれ達を引き止める。
振り向くと、加賀谷と和泉の二人がいた。
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