SMILE!
立場 side.依鈴
八さんと武伊が出て行ったあとの管理室は少しだけ重い雰囲気が漂っていた。
八さんが親衛隊に何をされても、厳重注意。それ以上の処罰はない。そう言った上総先輩。
用務員の立場って、そんなに弱いものなのか?生徒も、用務員だって同じ人間なのに。
そう思っても何も出来ない自分に腹が立つ。風紀委員会という生徒より上の立場にいても、親衛隊の制裁に気づくのはいつも後から。
それじゃ、遅い。
八さんの為に何か出来る事があるはずだ。
俺の親衛隊には動くなと言えばいい。制裁が始まる前に、八さんを助ければいい。
今の俺に出来る事をしよう。
「上総先輩、本当に注意以上はないんですか…?」
菊がぽつりと言った。
「よく聞いておけ、お前ら。…問題を起こした生徒の処罰を私に任せているのは、それが生徒同士の問題だからだ。いいか、この学園の生徒の大半が金持ちだろう?それは私もお前らも同じだ」
この学園の生徒はどこかの企業の子供だったり、と御曹子が多い。
それは分かっているけど、それと親衛隊の話しに何の関係があるんだ。
「特に親衛隊に所属している奴らは無駄にプライドが高い」
無駄に、って…、あながち間違ってはいないけど。
「もし、ハチ公が制裁を受けたとして、私が親衛隊に停学の処分を下したとする。……ハチ公はどうなると思う?」
どうなるって、八さんは何もならないだろ?八さんは何も悪い事なんてしていないんだから。
「クビになるんじゃないの」
咲の呟いた声が部屋に響く。
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