SMILE! 3 「八さーん、何かあったら言ってね?」 和泉の所から戻って来た咲がそう言った。 何かあっても、咲達には言わないかもしれない。 ちっぽけなプライド 年下の高校生に守ってもらうのは、そのちっぽけなプライドが許さないんだ。 すぐに無くなってしまうくらいの小さなプライドだけど、今だけは…今だから自分自身の力で。 「……じゃあ、おれは…戻る、から」 ソファーから立ち上がりながら、言うと滝登が涙目になった。 「おかーさん行っちゃうのぉ?」 ……駄目だ、滝登に負けるな。 いつまでもここにいるわけにはいかない。 「…あ、ああ」 「滝登、八さんに迷惑かけちゃダメだよ。八さんには八さんの仕事があるんだから。それにまた会えるでしょ?」 菊が優しい口調で言うと、滝登はしぶしぶ頷いた。 「八さん、そこまで送ります」 鈴がそう言って、ソファーから腰をあげようとしたが、おれはそれを止めた。 「…いや、いい。…大丈夫だ」 道は覚えているし、大丈夫だろう 「…そう、ですか」 少し顔を歪めた鈴。 鈴は心配性だな。嬉しいけど、ちょっとは信用してほしい。 「……鈴、ありがとう」 心配してくれた事とか、いろんな事を込めて、ありがとうと言うと鈴は微笑んだ。 「いえ。…八さん、気をつけて下さいね」 おれは何人に気をつけてと言われてるんだろう…?皆、気にし過ぎてないだろうか。 おれは大丈夫だ。きっと . [まえ][つぎ] [戻る] |