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SMILE!
風紀委員会



鈴と矢沼が入ってきた。
矢沼は滝登の隣に座って、和泉にパンを食べていいか聞いていた。
鈴はおれの方に来て、おれの至近距離にいた咲と菊を切り離した。


「お前ら、近いんだよ」

「気のせいじゃなーい?」

「もしかして嫉妬してるの?」


ぴくと鈴の眉間が動く。
どうも鈴は咲と菊にからかわれているらしい。


「…うるさい。それより八さん、何で食堂に?」


鈴は向かい側のソファー、矢沼の隣に座り目の前のメロンパンを手に取り、そうおれに聞いた。
おれが答える前に滝登が答えてくれた。


「滝登がおかーさん、つれてきたの」


リスみたいに頬っぺたいっぱいにパンを詰め込んだ滝登はすごく、話しづらそうだった。


「おかーさんって、え江夏さんの事?」

「うん、そーだよぉ。だって、お母さんみたいでしょぉ?」


矢沼、何故おれの名前を言う時だけ吃るんだ。それに滝登、おれのどこがお母さんみたい何だ?
なのに、皆してあー何か分かるかもと。出会って間もない和泉までもが、頷いていた。


「ハチ公、と呼ばせてもらうぞ」

「…は、い?」


突然そんな事を和泉に言われた。ハチ公…?あだ名か。この学園の生徒は何かとあだ名をつける。


「いいか?」


別に嫌なわけでもないので、一度頷いた。


「じゃあハチ公、質問がある。生徒会で話した事ある奴の名前を言ってくれ。さすがに全員じゃないだろう?」


全員じゃない、全員じゃないけど、ほとんどだ。


「…矢沼と但馬…岩代と加賀谷」

「…八さん、いつの間に会長と副会長まで」


ため息をついた鈴は、しょんぼりとしていた。
何かいけない事言ったか?


「確実に親衛隊が動くだろうな」


その和泉の一言でシンとなる。


「紅の担当という事と、食堂での騒ぎ。生徒会と風紀に近付いたと、明日には全校生徒に知れ渡るだろうな」

「上総先輩、どうにか出来ませんか」


鈴が和泉にそう問う。
だけど、おれは守ってもらえるような立場でもないし。

自分の身くらい、自分で守れ
という隠岐の言葉が頭の中にある。それにおれは一応大人。
この学園の親衛隊が危ないと分かっていても、自分で何とかしたいと、そう思うのは間違っているだろうか?



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あきゅろす。
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