SMILE!
6
「一沙、何の騒ぎだ」
紅と生徒会の事を考え込んでいたら、凛とした声が、響いた。
その声の持ち主に視線を向ける。
茶髪の髪と、眼鏡。見た事のない生徒だった。その生徒の後ろに、鈴と咲、菊がいた。
という事は、この生徒が風紀委員長か?
「よお、上総。別に騒いでた訳じゃないけどな」
「やかましい。お前が食堂に来るだけで大騒ぎだろうが」
呆れたようにため息ついた風紀委員長。風紀委員の方を見ていると、鈴と目が合った。
おれに気付いた鈴は目を見開き驚いていた。
「八さんっ!?」
その声に双子も反応して、こっちを向いた。近づいて来た鈴は、困ったような、嫌そうな顔をしていた。
「えっと、依鈴と…え、江夏さんって…知り合い…?」
気まずそうに声を上げた矢沼。
鈴は矢沼から顔を逸らし、ああと短く返事をした。
「なあ、アンタら誰だ?」
そこで高い声。
「げ…、どうしよ菊、逃げていいかなぁ?」
「咲、今回は諦めて。上総先輩もいるし」
咲は赤塚を見て、明らかに嫌そうな顔をしていた。咲達は赤塚に会った事がなかったんだろうか?
風紀委員長の前まで行き、赤塚はまた声を上げた。
「なあ、名前は?」
「貴様から名乗れ。あと私は年上だ。いきなりタメ口は失礼だろう、敬語を使え」
眉間にシワを寄せた風紀委員長が、淡々と言う。赤塚は頬を膨らませ、風紀委員長に噛み付く。
「なんだよ。お前、偉そうにすんな!」
偉そうって、風紀委員長だから、それは仕方ないと思うんだが。
それに言ってる事は正論だ。
「呆れてものも言えんな。咲、パス」
風紀委員長は後ろに下がり、咲を赤塚の前に出した。
「えぇッ!?ちょっ、上総先輩!普通こういう時は、委員長がどうにかするでしょ!」
「知らんな。ほら、菊も行け」
「…え!?」
菊も強制的に前に出された。
鈴が言ってた通りだ。委員長は面倒な事はしないと。
「どうするの、咲」
「うー、とりあえず自己紹介しとく?……嫌だけど、」
「…わかった。…えーっと、赤塚君だよね?」
「うん。アンタらは?」
赤塚は敬語を使う気は全くないらしい。おれに最初に会った時は敬語使ってくれてたのに。
咲達が生徒だから?人によって違うのか…?
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