SMILE!
2
部屋に紫煙が広がる。
「で、何の為に僕を追いかけて来たんですか」
追いかけて来てたのバレてたのか
「…あ、の…これ」
ポケットから指輪を取り出して、岩代に見せる。
「…落ち、てて」
「やっぱり、落ちてましたか」
クスリと笑う岩代は、面白がっているようなそんな感じだった。
やっぱりって、どういう事だ?
「そのまま落としておけばよかったものを。貴方はわざわざ拾ったんですね」
「……」
そりゃ、目の前に落ちてたら拾うだろ。それに大事なものだと思ったから。
「だから、アレの思うつぼになるんですよ。まあ、アレはただ自分は正しいと、悪くないと思いたいだけでしょうが」
アレ?岩代は何を言ってるんだ?
「…アレ、って…何だ」
「分からないんですか?風大ですよ、赤塚風大。ああ、もう名前を呼ぶのも気持ち悪い」
…は?いや、だって…岩代は赤塚と一緒にいて仲良さそうだったのに。
岩代の目に赤塚が映っていないような気がしたのは、間違っていなかったのか?
「僕がアレと仲がいいとでも思ってましたか?」
正直に頷く。
ここまで、嫌っているとは思わなかった。
「所詮上辺だけの付き合いですよ。ここを卒業したら必要な事でしょう」
「……」
上辺だけの付き合い…、必要な事かもしれないけど。
違う、だろ。
「嫌いなんですよ、人間が」
本当に憎いと感じさせる言い方だった。おれみたいに人が苦手なんじゃなく、嫌い……きっとそれは憎いほどに。
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