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SMILE!
無くした side.風大



紅とかいう最低な組織の仲間の相手をしていたら、いつの間にか江夏さんとあの変な黒髪の奴は消えていた。そのあと、相手をしていた奴らもどこかへ消えた。

親衛隊を暴力で潰している最低な奴ら。親衛隊も悪いと思うけど、それ以上に紅にイラついた。しかも江夏さんは紅の仲間らしい。

最低な人だと思った。大人の癖に最低な事をして、恥ずかしくないのかと。
オレを親衛隊から逃がしたのもただの気まぐれで、オレが逃げたあと親衛隊の奴らに酷い事をしていたんじゃないのか?


「風大!」

「日向先輩、」


日向先輩が、戻って来た。


「遅くなってすみません」

「謝らなくていいって!そんなに待ってないし!」


日向先輩に向かって笑えば、先輩も笑い返してくれる。


「風大、指輪ちゃんと持ってますか?」

「当たり前だろ!」


風大は仲間だからと、生徒会の皆が持たせてくれた指輪。


「ほら、ここに――あれ?」


ポケットにいれていたはずの指輪がいくら探しても、無かった。


「風大?どうしたんですか?」

「…指輪、無くなってる」

「え?無くしたんですか」


違う。違う!
無くしたんじゃない。だって、さっきまで…江夏さんと会う前までちゃんとポケットにあったんだ。

あ、そっか…取られたんだ。
あの人に。


「日向先輩!指輪、取られたんだ!!」

「…誰にですか?」


誰って決まってるだろ。
最低な大人に。


「江夏さんだよ!絶対、そうだ!あの人と会うまで持ってたから!それに、あの人紅の仲間なんだろ?」

「…そうですね」

「本当最低な人だよな。指輪取るなんて」


指輪が取られたのはオレのせいじゃない。
悪いのは全部、あの人。


「日向先輩!指輪、取り返しに行こうぜ!!」


オレがそう言うと日向先輩は微笑み、頭を撫でてくれた。


「いえ、風大は危ないので、僕が行ってきますよ。体育館に杏がいるので一緒にいてください」

「でも!!」

「大丈夫ですから。待っていてください」


日向先輩はそれだけ言うと、またどこかへ行ってしまった。

オレは悪くない。
悪いのは全部、あの人。



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あきゅろす。
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