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SMILE!
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でも、これからどうしようか。
また散歩でもするのか?


「……お腹すいた…行こ」

「…え?」


どこに?
やっぱり五十嵐に手を繋がれて、どこかに連れていかれる。


「…ど、どこ…行くんだ」

「……食堂」


食堂って、おれが行っても大丈夫なんだろうか…?
五十嵐に腕を引かれて、校舎の中に入る。校舎にはあんまり入った事がない。行くとしても、職員室か保健室くらいだ。


「ありゃりゃー?そこにいるのは五十嵐宰くんでないかにゃ?」


見た事ない生徒が前から歩いて来ていた。
オレンジ色の髪の毛。毛先だけが黄色になっていた。真っ黒なヘッドフォンを首に下げ、顎にマスク。風邪でも引いてるのか?しかし、マスクの意味がない。
なんか、チャラい。ホストってこんな感じなんだろうか…


「と、そっちは噂の紅担当の江夏八くんかにゃ?」


語尾ににゃつけるのは癖か?


「……」


五十嵐はその生徒を睨みつけていた。


「まあまあ、そんなに睨まないでくれにゃ。大丈夫だにゃー、ボクは傍観主義だから、江夏八くんに手を出す気はないにゃ」


吊り上がった鋭い目と八重歯が、猫に見えた。


「はじめまして江夏八くん」


無視するわけにもいかないので、ペこりと頭を下げた。


「僕は佐々流星、よろしくにゃ」

「……よろしくしなくて…いい」

「もう、宰くんは酷いにゃー。まあいいけど…八くん?」

「…は、い?」

「楽しみにしてるにゃ」


それだけ言うと佐々はどこかへ行ってしまった。
何を楽しみにしてるんだ?
謎だ。それに佐々は歓迎会中だというのに、どこのハチマキもしていなかった。何故だ?


「…五十嵐…さっきの、」

「……アイツは、ダメ」


それ以上、五十嵐は口を開かなかった。話しかける事も出来ず、ただ黙って五十嵐について歩いた。
手を繋ぐ五十嵐の力がちょっとだけ強くなった気がした。



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