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SMILE!
歓迎会



昨日まではあんなに酷かった雨も、朝にはやんで今日は快晴だ。身体の傷はまだ痛むけど、何とか動けるようになった。
そして今は紅の棟の入口にいるんだが、入りづらい。もしかしたら、また紅支持の生徒に何か言われたら…と思うと入りづらい。


「何してんだ?」


ぽんと肩を叩かれて振り向くと、木野がいた。


「……お、はよ…う」

「はよ。お前律儀だな。つか、何で入らないんだ?」


木野も律儀だと思うけど。挨拶もちゃんと返してくれるし。
見た目のわりにはいい子だ。やっぱり人は見た目で、判断しちゃ駄目だなと思った。


「……入り、づらくて…」

「言っとくけど、この中晃雅達しかいないぜ?」

「…え?」

「今日、歓迎会だから体育館に行ってんだよ。ほら、行くぞ」


中に入って行く木野の後ろから、おれも中に入る。


「今日で四日目だな」


ああ、そうか…
いろいろあって忘れていた。


「オレ達は、お前の事認めてっけど、他の奴らは違う。今までは、三日もたなかったのに、何で今回は、ってお前にやっかみがいくわけ……だから、今日からは気をつけろよ」


だから、皆…桐也先生も鈴も五十嵐も気をつけろって言ったのか。
木野はおれの事認めてるって言ったけど、本当にそうだろうか?


「顔、傷だらけだな」


昨日までは顔にもガーゼを貼っていたが、目立つと思って今日は絆創膏だけにした。
それでも、やっぱり目立つ。


「アイツを親衛隊から助けるなんて、アンタ物好きだよな」


そりゃあ、目の前で遭遇したらほっとけない。それに少しでも自分を変えれるなら、それでいいと思った。


「あんまりお人好しなのも、オレはどうかと思うけどな。まあ、これはオレ個人の意見だけど」

「……、」

「ま、オレはアンタの事なんて知らねぇし、どーでもいいけどな」


そう言い終わると同時に、木野は隠岐達が待つ扉を開けた。

昔、誰かが言っていた。
―お人好しなんてただの馬鹿だと俺は思うんだよな。
じゃあおれは馬鹿なんだろうか?
でも、誰かは違うと言った。
―お前はお人好しじゃなくて、優しすぎるんだよ。
お人好しと優しさの違いってなんだろう?
おれは優しくなんて、ない。人と付き合うのが苦手、そう言っていつまでも逃げてるんだ。自分の事で精一杯。
…おれは優しくない。



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