SMILE! 3 「……なん、で」 なんで、助けてくれて、手当てまでしてくれる…?隠岐はおれの事、嫌いなんじゃないのか? 「……助け、たんだ」 「勘違いすんじゃねえぞ。あのクソ野郎共を潰す事が紅の役割だからだ。……お前を助けたワケじゃねえ」 じゃあ、手当ては…なんでだ? 「お前をここまで連れて来たのも、手当てをしてんのも、単なる気まぐれだ」 隠岐はバシッと背中を叩いた。 「…いっ、」 「背中終わった」 だからって叩かないで欲しい。 隠岐に叩かれた部分が、ジンジンと痛む。 「こっち向け」 「……も、自分で、やる…から」 背中をしてくれただけで充分だ。 「あ?いいから向け」 ぐいっと身体の向きを変えられ、隠岐と向き合う。 「……あ、の…隠岐」 「黙れ」 「……す、いません…」 なんで謝ってるんだろう。何もしてないのに。 隠岐はまた手当てをし始めた。お腹周辺の手当てした後、隠岐はおれの前髪に触れた。 「……お、隠岐…」 前髪を上げられそうになり、隠岐の手首を掴む。 「あ?離せ」 「……い、やだ…か、顔は…自分で、やる…から」 「却下」 隠岐はもう片方の手で、前髪を上げた。顔、見られた。 「細い目だな」 こう言われるのが嫌だった。 だから、前髪を伸ばして顔を隠した。 隠岐はそれ以上は何も言わず、顔にある傷を手当てしてくれた。 「終わった」 「……あ、ありが、とう…」 じっとこっちを見てくる隠岐。 な、なんだ……まだ、何かあるのか? 「明後日、」 「…?」 明後日?何かあるのか? 「明後日の歓迎会、お前が鍵だ」 「……は?」 明後日の歓迎会?おれが、鍵? 鍵ってなに? 「明日は大人しく寝とけ。明後日は俺の所に来い。いいな?」 「……、」 「返事」 「……は、い…」 隠岐はそれだけ言って、出て行った。訳が分からず返事をしてしまったけど、よかったのか? . [まえ][つぎ] [戻る] |