SMILE! 金色 「お前が紅の担当なんて、俺らは認めてねぇから」 紅の棟に入った途端に、数人の生徒がおれを教室に連れ込み、そう言った。 「隠岐が何を言ったのかは、知らねぇけど、どうせお前も三日、もたねぇだろうし」 何も言い返す事はない。 じっと話を聞く。 「さっさと隠岐に殴られて、辞めろよ」 今までの担当も、気にくわないから、隠岐に殴られて、辞めていった。 「お前さ、二度とここに来るなよ。邪魔なの、分かんねぇの?」 ガンとおれの隣にあった机を蹴られ、教室に大きな音が響いた。 それにビクリと肩を震わせた。 「出ていけよ」 ドンッと強く肩を押され教室の窓から、投げ出された。ドスンと音を立てて、地面に背中から着地した。 「……っ」 一階からとはいえ、痛い。 昨日はお腹とスネ。今日は背中。痣だらけになりそうだ。 「二度とくんじゃねぇぞー!」 そう言われ、バンッと窓を閉められた。 「……」 どうしよう… とりあえずは本来の仕事である水やりするしかないようだ。 水やりが終わったらまた来よう。 花壇に向かっている時、声が聞こえた。また、喧嘩でもしているのかと、声のした方に行く。 「…ぁん、か、がや様ぁ…」 男にしては、高い声……しかも、あ、喘ぎ声。5m程先には、男が二人絡み合っていた。 来なければよかった、なんていう後悔はすでに遅し。 この学園では、同性愛が普通なのは分かっていた。桐也先生にも、真樹先生にも言われた事だったし、真樹先生に至っては、おれを襲ってきたくらいだから。告白の現場だって、何度も遭遇した。 でも、これは初めてだった。 「…あっ…かがや、様っ、誰が見て、ます……ゃぁ」 初めての光景に、おれはただ固まった。加賀谷という名前と、風に靡く金色の髪。 入学式の時に見たあの生徒 …生徒会長だ。 「…お前、飽きた」 加賀谷は、小柄な男子生徒から離れた。 「えっ、加賀谷さまッ!!」 足に縋り付くその子を加賀谷は、冷たい目で見下ろした。 「ウザい、邪魔なんだよ」 涙を流したその子は、乱れた服装もそのままにして、おれのすぐ横を走り抜けていった。 . [まえ][つぎ] [戻る] |