SMILE!
2
「八、今日は何もなかったか?」
桐也先生に話すような事はなかったはずだ。ただ、いつもより多くたくさんの人と話したくらいだ。
「…ん、特に」
「そうか。それならいいんだけどな。気をつけろよ、いろいろ」
何に気をつければ、いいんだろうと思ったけどはいと返事をした。
「にゃあ」
シマが開いていた窓から中に入って来た。
「……おかえり、シマ」
そう言って抱き上げると、隣にいた桐也先生が動物って得だよなと言っていた。
シマから、ふわりとまた同じ香水の匂いがした。この匂い…、
「……あ、」
「どうした?」
不思議そうな顔をする桐也先生に何でもないですと言って、確かめるようにシマの匂いを嗅いだ。
やっぱり、同じだ。この香水の匂い…五十嵐と一緒だ。
シマは五十嵐と仲が良いのか?
「おーい、はちー?」
目の前で手を振る桐也先生。
「……何、ですか…」
「いや、何でもないけどさ。…あ、やべオレそろそろ戻らねぇと。じゃあな、八」
「……はい」
桐也先生は急いで戻っていった。
今日は、もうする事がない。
シマを抱えたままベッドに行き、横になる。
スリスリと顔を擦り付けてくるシマ。そんなシマに癒されながら、ちょっとだけ寝る事にした。
「……ん…」
起きたらすでに日が暮れていて、昼におにぎりしか食べていないせいで、ぐーとお腹が鳴った。
寝過ぎた。
「…ご飯、ご飯…」
ベッドから立ち上がり、先にシマにエサをやる。シマもお腹が減っていたのか、エサにがっついていた。
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