SMILE!
2
「ぶつかってごめんなさい!まさか人がいるなんて思わなくて」
笑ったり、落ち込んだり。喜怒哀楽がハッキリしている子だと思った。
無表情なおれとは大違い。
「でも、いてくれてよかったかも。いなかったら俺、花壇にぶつかっただろうし!」
「……、」
何て言えばいいのか分からなくてただ黙っていた。
ジンジンとスネはさらに痛む。
「あの、何で喋らないんですか」
急にそんな事を言われ、内心戸惑った。
何を喋ればいい?
何を話せばいい?
「話さないと伝わらないと思いますけど」
そんな事、分かってる。分かってるけど、人と話すのは苦手だ。
「…っ風大ぁ!!」
少し遠くから声が聞こえた。
たぶん、この子を追っているんだろう。
「やばっ。じゃあ俺行くんで!さよなら!!」
バタバタとその子は走って行く。
…ふうた、っていう名前なのか。きっともう会う事はないだろうけど。
作業を再開しようとしたら、おれの後ろを何人かドタドタと走って通り過ぎて行った。あの子を追いかけているんだろう。
と思ったら、その内の一人が話しかけてきた。
他の奴は行ったのに。
「あ、ああのっ!!」
おれのすぐ後ろには、顔を真っ赤に染めた奴がいた。
入学式の時、ステージにいた気がする。生徒会か…?
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