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SMILE!
5



じゃあ、今までの担当は生徒会派だったという事か。
聞いてもいいだろうか?何故、生徒会と風紀に対立する必要があるのか。
おれは何も知らないから。


「……何で…対立してるんだ」


おれがそう言った瞬間、空気が変わった。
重苦しい空気。


「それをお前に言って、何かメリットがあるのか?ただの用務員に何が出来る?」


確かに何も出来ないかもしれないけど、知りたい。紅の担当になった以上、何も出来ないじゃすまされないだろう。


「いいじゃん。教えてあげようよー。んーと、とりあえず…紅はね、晃雅が一年の時に創った組織なんだよー」


一年の時…その時、まだおれは働いてない。
紅という組織は昔からあったものじゃなく、目の前にいる隠岐が創ったもの。


「生徒会って、基本的に自分達以外の人間はどうでもいいんだよ。自己チューなんだよね」


カチカチとパソコンを操作しながら黒川は言う。


「一般の生徒が、もし生徒会と接触でもしてみろ。そいつ学園辞めるぜ」


木野は真剣な表情をしていた。
小声で何で、辞めるんだと言うと、青柳はニコニコ笑って、はちゅは、何も知らないねーと言った。


「顔が良い奴には親衛隊ってのがあるんだよねー。得に生徒会のは過激派で近づこうとすれば終わり。イジメに合うよ。例えそれが自分の意思で生徒会に近づいたんじゃなくても、同じー」


この学園を辞めるまで親衛隊のイジメに合うよ。
ニコニコ笑っていても目は真剣な青柳がちょっと怖くなった。


「生徒会はそれを黙認してるんだよ。教師だって同じ。はっちんはさ、そういう生徒がいたら……どうする?」


おれはどうするんだろう。
イジメに合っている生徒を目の前にした時、おれは助ける?
それとも……他の教師と同じように黙認する?


「………、」


何も言えずに、黙っていると黒川は笑った。


「結局、そんなもんだよね。ただの用務員に期待しちゃダメだね」


そう言うと黒川は手を止めていたパソコンを操作し始めた。


「紅が嫌われてる理由はね、そういう過激派の親衛隊を潰してるからなんだよー。まぁその方法が暴力的だから、嫌われてるんだけどねぇ」


どっちもどっちじゃないかと思ったのはおれだけだろうか。
でも、紅の方がマシか…?


「美涼」

「ん?…あ、はいはぁい。ごめんねぇ、はちゅ帰ってくれるー?うちのリーダーご機嫌ななめみたいだからー」


隠岐が指示をすると、青柳がおれの腕を掴み、立たせる。


「じゃあねー」


廊下に閉め出された。
何か言う前に扉を閉められ、どうする事も出来なかった。
どうすればいいんだ。そればかりが頭の中を巡った。



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