SMILE!
愛しい人 side.武伊
何で、あ、ああの人が…ここにいるんだ…!?
自己紹介したあとにふと、体育館をぐるりと見回すと、1番後ろ…端の方に、愛しい人がいた。
その人は、保健医と何かを話している。
ああ、遠い。遠すぎる。
じっと見ていると、その人と保健医は体育館を出ていった。
ちょっと待て、何で手掴んでんだよ、保健医!!そんな心の叫びも虚しく、届く事はなかった。
あの人、江夏八さんとの出会い、というか、一方的に俺が知った。だから話した事すらない。いつもこうやって、遠くから見つめるだけ。
一年前、俺が一年の時に出会った。この学園は初等部、中等部、高等部まで一緒だ。
高校からの外部入学だった俺は、この学園の特色に驚いたし、戸惑った。
そんな精神的にまいっている時に江夏さんを見た。
一人で花をずっと見ていて、突然、ふにゃと笑った。その顔が忘れられない。
その顔に一目惚れした。
それからというもの、辛い時は江夏さんを思い出し、乗り越えてきた。
江夏さんの名前は生徒会の権力を使って調べた。
「タケちゃーん、顔にやけてるよー?」
「気のせいです、杏先輩」
好きな人がいるなんて杏先輩にバレたら大変な事になる。それは何としてでも阻止しなければ。
ああ、江夏さん…貴方に会いたいです…。
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