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SMILE!
3



「じゃあ、ボクからねー」


本当に高校生か?小さすぎる。
遠いから、それくらいしか分からないが、可愛い顔をしている事はわかる。


「香西杏でーす。生徒会会計やってまーす。よろしくねー」


語尾にハートが付きそうな感じの話し方だ。
ウオーとまた叫び声。
ズキズキとまた痛み始める頭。


「…っ、」


駄目だ、思い出すな。
ぎゅうっと手を握り締める。


「じゃあ次は俺!」


その一言で静かになった。
でも相変わらず、頭痛は酷い。


「書記やってます!矢沼武伊です!」


異常な程の熱気。
生徒会は有名人か何かなのか。


「はっちゃん、」

「…?あ、真樹先生…?」


肩をポンと叩かれた。
後ろにいたのは橘真樹だった。
真樹先生は保健医で常に白衣を着ている。真樹先生は良い先生なんだけど、ちょっとトラウマが…


「……どうして、ここに?」

「はっちゃんを迎えに来たのよ」


真樹先生は身長190cmぐらいあって身体もがっちりしてるのに何故か女の人みたいな話し方をする。
髪も長くて、いつも一つに結んでいる。


「…何で、ですか?」

「頭、痛いんでしょ?」

「……そんな事、ないです」

「嘘つかないの。行くわよ」


腕を掴まれて、連れていかれる。力、強い。


「…っでも、まだ終わってないです」


入学式終わってないのに、出て行くわけにはいかない。また、迷惑かけたくない。


「はっちゃん、言う事聞かないと、襲うわよ?」


低い声にびくつく。たまにこうなる真樹先生が怖い。
真樹先生には襲われかけた事がある。初対面の時に。その時に、ファーストキスを真樹先生に奪われた。トラウマだ。


「……ご、ごめんなさい」

「あら、謝らなくていいのよ?さて、行きましょうか」

「…どこにですか」

「とりあえず、保健室にでも。それとね、はっちゃん…これは理事長命令なのよ」


え?良仁さんはずっと見ていてくれていたんだろうか
ありがとうございますと心の中で告げ、真樹先生と一緒に体育館を後にした。



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