SMILE! 2 しばらくして、ぞろぞろと生徒が体育館に入って来た。 …人が、多い。おれ、今日で死ぬかもしれない… 体育館の端っこの方ですでに気分が悪くなっていた。泣きそうになりながらも、仕事だと自分に言い聞かせた。 入って来る生徒には毎回小声で、気持ち悪いと言われ、教師には睨みつけられた。 「………」 いつもの事。 だから、我慢しよう。良仁さんに迷惑かけるわけにはいかない。 大丈夫。 数分後、入学式が始まった。 人が多いのをごまかすために、人をカボチャだと思え。をおれなりに変えて、人を猫だと思う事にした。 うるさいのは、猫が騒いでいるせいだ。帰ったら、シマに癒してもらおう。シマはこんなにうるさくない。シマはいい子だ。 ニャー、ニャーと一際騒がしくなった。ステージには良仁さんがいて、うるさいのは、このせいかと一人頷いた。 良仁さんが微笑み、話し始めると猫達、いや生徒はうっとりと良仁さんを見ていた。 良仁さんは、またたびか。 その良仁さんの話が終わると静かになった。良仁さんはステージから去る時に、おれを見て綺麗に微笑んだ。 それを見た猫…生徒が声を出せないくらい感動していた。 またザワザワと騒がしくなる。今度は何だとステージを見ると、ちょうど何人かの生徒がステージ袖から出て来ていた。 その瞬間、叫び声。 キャーとか、ギャーとか、ウオーとか…… 「…っう…」 うるさい、叫ぶな。 ガンガンと頭に響く。 もう猫なんかじゃ、ごまかせない。猫の方がマシだ。 痛む頭を軽く押さえて我慢する。 「黙れ」 凛とした声が響く。たった一言で体育館のざわめきは消えた。 ステージ上には五人の生徒がいた。中央には金髪の生徒。 たぶん、この人が黙れって言ったんだろう。1番偉そうだし… それにしても皆綺麗な顔してる。何なんだ、あの五人は……? 「はーい、今から生徒会紹介するからー、皆静かにしててねー?」 ステージにいるちっこい奴が皆に呼びかけると、はぁーいと返事が返ってきた。 すごい…、打ち合わせとかしてそうだな。 あの五人って生徒会だったのか。顔が綺麗だから、あんなに騒ぐのだろう。 . [まえ][つぎ] [戻る] |