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愛の再再確認テスト(ルッチ)




『ねぇカク君どないしようか』

「ヒロインちゃん方言出てる。ヒロインちゃん方言出てる」


あれから猛ダッシュでルッチから逃げ切った2人はカクの部屋で落ち着きを取り戻し始めていた。


『私ルッチに…嫌われたかな?』


"あいらーびゅー"って言ったとき……ルッチ嫌そうな顔してたなあ…



「いや、照れとっただけじゃないかのお!(え、もしや真剣に落ち込んどる?)」

『でも重い女とか思われたかも……』

「軽いと思われるよかましじゃ!(あ、ヒロインちゃん泣きそう)」

『………………………』



ヒロインちゃん目尻が潤み、眉は次第にたれ下がっていく様子にカクは激しく庇護欲を感じた。


「(くぉおおおお病んどる!ヒロインちゃんが病んどる!病んどるヒロインちゃんもかわいい!)」







ルッチに嫌われた

ルッチに嫌われた

ルッチに絶対


嫌われたああああああ!



















『……………ヒック、る…ちぃ』







「(あーあ、泣いてしもうた)」

『ルッ…チ…ッ……うぅっ…』



「……………。よし!えー、おなごを泣かせる悪い男と泣き虫姫のために愛の再再確認テストを始めたいと思います。」

『ちょ、泣き虫じゃないしっ』

言葉とは裏腹に大きな目からはボロボロと涙がこぼれている


「ほらほら、鼻拭いて!せっかくの美人が台無しじゃぞ!」

『うまいことばっか言ってー』

「(、本当のことじゃ!)……ヒロインちゃんあいつを振り向かせたいか?」

『うん!』

「なら今から言うことをちゃんと実行すれば奴もヒロインちゃんに首ったけじゃ!」

『本当に!?カク…ありがとおおお!』

「分かったから鼻水拭いてくれ」


こうして、私とルッチの、愛の再々確認テストが始まった。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


「グロス」

『テラテラ!』

「露出」

『ほどほど!』

「パット」

『ワンサイズ下プリーズ!』


位置:ルッチの部屋前
距離:約1メートル

愛の再再確認テスト
問1:ボディタッチ




恐らく中でデスワークをしているだろうターゲットの心を鷲掴みにするのは、


『カク隊長……本当にこれでルッチは惚れ直してくれるのでありますか…?』

「グハァッ…!…ヒロインちゃん、しゃ、しゃがむな!パンツ見える!」

『え、ちょ人の話し聞いてる?殴るよ?ねえ殴るよ?』


ミニスカフリルでお姫さまのコスプレをしてルッチ氏の部屋の前でしゃがみながら最終打ち合せをしている私こと、ヒロインちゃんちゃんらしいです。え、このドレス背中ぱっくりで寒いんですけど。風邪引いちゃいそうなんですけど。


「いいかヒロインちゃん。部屋に入るとまずは机でデスワークをしていたルッチが警戒した目で出迎える」


さっきのサバイバル鬼ごっこのこともあるから、彼はいつもの数倍眉間に皺がよっているだろう。


『おお!カク隊長、難なく想像できます!』


「男は気になる女に触られたら理性のたかが外れるもんじゃ。ヒロインちゃん、さりげなく奴の体に触って奴の鼻息を荒くさせろ!」


『隊長!言い方がダイレクトすぎます!ま、頑張るけど!』


「さあ、そしたら身を屈めて眉毛を八の字にして言うんじゃ。さっき教えたみたいに」


『え、じゃあちょっとやってみるから見てて!おかしかったら直してよ?』


腰の角度は70度。
両手は膝に添える。
この時に谷間を見せつけ、
眉毛を八の字に。
ドライアイになるくらい
目を見開いて潤ませ
腫れぼったく唇を開いて…




『ねぇ、私のこと…好き?』


「ブッヘァ!…好きじゃ!ヒロインちゃん大好きじゃああ!」

『え…ちょ、その反応引くんですけど。てかルッチそんなんじゃないし』

「こ、今度はルッチの首に腕を絡めて耳元で囁く!」



カクの膝上に半分のっかかり
首の後ろに手を回す。
一回耳の淵を指でなぞってから
反対の手で相手の鎖骨を押さえ
そっと口元を寄せて
熱ぼったい口調で囁く。




『ねぇ…お願い、甘えさせて?』






「甘えろオオオ!ヒロインちゃん、わしの胸で甘え倒すんじゃアアア!」

『ちょ!抱きつかないで!』



カクの余りにものがっつき様にびっくりした。ルッチもこーゆー風に力強く抱き締めてくれればいいのに…付き合いはじめの時みたいに。てかいつまでくっついてんのよカク!え、押しても引いても離れねぇよコイツ!どんだけ力強いんだよ!


『離れてよバカ!』

「なあ……ヒロインちゃん」

『やッ…腰くすぐったい!』

「わしにしとかんか?」

『はぁ?……ッ…』






一瞬耳を疑ったのでカクの目を真正面から見てみると、彼はいつになく真剣だった。腰を撫で回すカクの手が太ももに伝う。さすがに私でも分かる。これはヤバいだろ。


『え……?』

「わしならお前を泣かせない。不満も、不安も、淋しい想いもさせない」

『ちょっと待とうかカク…んアッ!』

「一生お前を幸せにする。だから……来い。あいつなんか忘れて」

『ぁ、ア、ん!お尻揉まないでよへんた……い』













嗚呼、終わった。

今頃登場だなんて…あなたは計算してやってるんですか?

彼はドアの向こうでデスワークなんてしてなかった。普通に廊下を歩いてやってきた。そして盛りに盛るカク君と、そのおかずヒロインちゃんちゃんと目先数メートルのとこで止まった。


ルッチと目が合う。

ルッチが手に持っていた靴を落とした。あ、それさっき私が落としたヤツ。














その後のことはあんまり覚えてない。多分カクの後ろ首を数発手刀で殴って足蹴にしてからルッチと反対方向に走りだした。


兎に角走った。

涙で崩れる視界の中を。



カクのバカヤロウ。

絶対勘違いされたよ。

もっと嫌われたよ。




ミニスカフリルなんて糞食らえ


【愛の再再確認テスト】
問1:ボディタッチ

採点:18点(赤点)



(ねぇ神様)(私なんか悪いことしましたか?)




…………………………
20091103





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