おお、ロミオ、ロミオ。 どうしてあなたはロミオなの? 私を思うなら、 あなたのお父様を捨て、 お名前を名乗らないでくださいな。 もしそうなさらないなら、 私への愛を誓ってほしいですわ。 そうすれば私は、 キャピュレット家の人で なくなりましょう────。 「おお、スパンダム、スパンダム…!どうしてあなたはスパンダムなの?」 ロミオとジュリエとそれからシェークスピア 「…………」 「…………………」 「………どうした急に」 「ちょっと長官!雰囲気壊さないでよ!」 「ふ、雰囲気?何の雰囲気だ!?」 「もー、いーから!私の後にアドリブでセリフ繋げて」 「新手のイジメか」 「(無視)おお、スパンダム、スパンダム…!どうしてあなたはスパンダムなの?」 「(え)」 「(ほら、早く言って!)」 「(何を)」 「(セリフ!)」 「……お、おおヒロインちゃん!それはだな、うちのオヤジの名前がスパンダインだったからだな!」 「………」 「…………」 「はい、失格ー」 「えええええ!!!」 「もーいいよ。長官なんて知ーらなーい。」 なんで!?って顔したまま、固まってしまった長官。だよねえ、わっけわかんないよね……。それは私も分かってる。分かってるんだけどさ、 考え事、基だんまりを決め込んだ私に長官がアタフタし始めた。長官は悪くないんだけどね。本当に悪いのはきっと私。少し居たたまれない気持ちを感じた。 「……な、なあヒロインちゃん…どうしたんだ?」 「…ねぇ長官、長官はCP9で一番偉い人でしょ?」 「?…ああ」 普段ルッチとかカリファには相手にもされてないけど、 「じゃあ政府の中でも偉いんでしょ?」 「…それ、なりにな!」 スパンダイン前長官の息子だもんね。知ってる。知ってるよ。 「じゃあさ、…」 だけどね、だからこそ不安になっちゃうわけですよ。庶民上がりのヒロインちゃんちゃんには。 「なんで私とつき合ってるの?」 「………」 ロミオとジュリエットみたいに。 「……そんなん…お前…」 なんだろう 脈拍が速い気がする。長官がなんて答えるか怖い……なんて言ったらCP9として失格かしら? 「……こっちこい」 言われるがままに私は長官の前にたって、そして彼の目を見つめた。彼は不安定な私をどう思っているのだろう。煩わしい、とか思っている? 「あのなあヒロインちゃん、何ぐらついてるかしらねーけどよ……そんなんお前だからに決まってんだろ」 長官が私の体を優しく包んで肩に頭をおいた。 「俺がスパンダムでもスパンダムじゃなくても俺は、お前が…その……す、好きだ」 どもるなよ、バカ…… そんなツッコミも涙に埋もれて声には出ない。 「いいか…?俺たちはロミオとジュリエットじゃねぇんだから、お前は悲劇のヒロインでも他人に同情される様なヤツでもねーんだよ。分かったかこの幸せもん!」 恥ずかしくなったのか、長官は私の首元に自分の顔をうずめ、黙って抱きしめている。 「長官、」 「心配すんな。もとから俺たちを邪魔しようとする奴なんていねーよヴァーカ」 「うん、ありがと…分かった…長官の気持ちは分かったよ……だから泣かないで?」 「………お前もな」 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ "ロミオとジュリエット"を 読んでいたら自分たちと 同化させてしまったヒロインちゃん。 強気な子が弱ってしまう、 そんなギャップが 私は好きです。(変態) 20090504 [前へ][次へ] |