「ヒロインちゃん……」 エニエスロビーの風が、ピンクの髪を揺らめかす。 「はい」 凛とした花のような返事が部屋に広がった。 「お前はいつみても綺麗だな…」 ハッとする君の顔 「、そのようなこと…私にはもったいないお言葉です…」 節目がちに、頬を桜色に染める姿が愛らしい…あぁ愛らしい… 「……ヒロインちゃん」 俺はもう一度名前を呼んだ さっきよりも、少し強く 「………はい」 それに応じて君の声にも力強さが増した 「俺と結婚してく 「嫌です。」 「……………」 「……………」 「………けっこ 「嫌です。」 「けっ 「嫌。」 「まだ"け"しか言ってねーよ!!!」 ────ガチャリ 「しつれいしまー…あ、ヒロインちゃん」 扉が開くとともに髭面の35歳が入ってきた。 「やぁ〜ん!!ジャーブラーっ!!」 「な、なんだ?なんだ!?」 チャンスとばかりに自身の両腕をジャブラの首に巻き付け、ありったけの胸を押し付けるヒロインちゃん。 …てかよー …密着度高くね?距離0センチじゃね!? え、あそこあんなに仲良かったっけ?もしや付き合ってんの?恋仲?恋仲!?ヒロインちゃん彼氏いないっつってたじゃん!嘘だろー…ヒロインちゃんー…頼む嘘だと言ってくれぇえ!!そしてジャブラぁぁああ!!てめぇもデレデレしてんじゃねーよ!!さり気なく腰に手ぇ回すなボケェえ!!俺なんてヒロインちゃんの靴しかさわったことねーんだぞ!!あーもうなんて言うか、全体的にジャブラずるいよーっ!! 「聞いてよ!長官がセクハラしてくんのーっ」 腰と腰がピッタシ密着。 俺だったら勃つな(キッパリ)。 「なんかー、おめぇは相変わらず綺麗だとか籍入れろよとか…」 そんなぞんざいな言い方じゃなかったよ、俺!めっちゃ演出したもん!!風のタイミングとか日当たりの良さとかめっちゃ計算したもん!! 35歳がため息をついてこっちを向いた。 「なあ、いくら長官でもやっていーことと悪ぃことがあるんじゃねぇのか?」 怖っ!ジャブラ怖っ! でも、顔は怖いくせにオーラピンクなんですけど!花咲いてんですけど!脳内ガーデンパークか!! 「いや、あの、……」 嫌な汗が背を伝う。 「"俺のヒロインちゃん"に手ぇだすたぁ…覚悟ついてんだろな?」 怖ぇえええよぉぉお!!!CP9マジだよ!ヤツ本気と書いてマジだよぉぉお!! 「…ちょっと待って。ねぇ、ジャブラ。それどーゆー意味?」 え…………? ヒロインちゃんが…まさか 助け船を…!? 「なんで私があんたの女なのよ」 えぇぇええ!!!? これにはジャブラも唖然としている。 「は?だって…おめぇあんなにくっついてきたから…」 「はぁー?何勘違いしてんのよ。誰があんたみたいなヒゲ親父相手にすんのよ。援交か!」 ───ガーン! ジャブラは石になった。 「第一付き合うならカクみたいな若い人じゃなきゃ年齢が不相応よ!30手前のおっさんすら嫌だから私。」 ────ガーン! スパンダムは石になった ルッチも任務先で石になった 「あ、もう時間だわ」 愛らしいヒロインちゃんが身につける腕時計は、ヒロインちゃんの16の誕生日におれがプレゼントしたもの。 「今からカリファとお茶の時間なの!…ガールズトーク、覗いちゃだめよ?」 フフフ…と花のように笑って、ヒロインちゃんは舞い去ってしまった。俺達に心の傷残して。 「───…ヒロインちゃんがよぉ、」 ジャブラが先に口を開いた。 「いつもより積極的だったんだ」 「ああ」 「胸とか腰、とかくっついてよぉ」 「……ああ(ムカ)」 「俺は、さ。てっきり…」 35歳の目にはうっすらと光の粒ができているように見える。膝と手を床についてうなだれるおっさんの姿には"哀愁"という言葉では表せないほど切なくなっている。 「ジャブラ……」 「チクショォォオ!一回でいいからヒロインちゃんと付き合いてぇ!」 その嘆きの言葉がスパンダムの何かに火をつけた。 「…付き合うんだ、ジャブラ」 「………は?」 「ヒロインちゃんと付き合うんだよ俺達は!!ギャハハ!そうだ、何を落ち込むことがある!簡単なことじゃねぇか!!……要は年の差がいけねぇんだろ?ククク」 ついにイカレちまったか?とどん引きしているジャブラに向かって、スパンダムは満面の笑みを浮かべた。 「俺に、考えがある」 ────翌朝 「ギャァァアアァアアア!!!!」 ヒロインちゃんの部屋から叫声が聞こえた。その悲鳴を隣の部屋で聞きつけたカリファは何事か、と急いで部屋を出た。 「どうしたの、ヒロインちゃん!!」 勢いよくドアを開け、探したがヒロインちゃんの姿が見つからない。 (どこにいるの?) そして最後の糧とばかりに洗面所へ向かったカリファが見たものは…… 「、ヒロインちゃん……なの?」 「!!」 「ヒロインちゃんでしょ!?…ヒロインちゃん……あなた…」 「カリファあ…わ、私…… 老けてる!!!」 そう、そこには手足や、髪が少し伸びて胸がさらに膨らんだグラマラスなヒロインちゃんがいた。 「カリファあ…カリファ」 半泣きの状態で10歳ほど年が増したヒロインちゃんがカリファに抱きつく。自分より年上の女性…しかも妹的存在だったヒロインちゃんがこうなるだなんて…… 「泣かないで、ヒロインちゃん」 「、うわぁあああん!ババァになっちゃったあああ!」 「なんでこうなったか分からないけど、落ち着いて?姿は変わってもアナタはアナタ。CP9の最若齢、ヒロインちゃんじゃない」 「頭脳は子供、外見(そとみ)はババァ!CP9、ヒロインちゃん!…みたいな?いやだああああ!!」 「よぅよぅ!お取り込み中悪ぃな!」 ズカズカとヒロインちゃんの部屋に入ってくる男は 「「スパンダこの野郎!!」」 「素直に"ム"をつけろ!!」 「セクハラよ!!」 「……ククク」 いつもならここでギャーギャー言うはずの長官が、なぜか今回は薄気味悪く笑いかけた。 「な、なんなのよ!グスッ」 「自業自得だぞ、ヒロインちゃん。お前がオヤジは無理だなんて言ったんだからな。」 「、…アンタ何したのよ!!」 「…ククク…ギャハハ!シェフに薬を盛らせた。その名も老け薬さ!ヒロインちゃん、おめぇの体は今、30代だ!」 「……は?」 「俺がお前と年が離れてるからいけないんだろ?ならその差を縮めればいーだけの話だ!ギャハハ!」 ……薬?……30代? ふざけんな!何の恨みか知らないけど黙って私の体になんかしようだなんて最低だ! 私の体が怒りでわなわな震えだした。 「長官、セクハラです」 「…カリファ。ちょっと席を外してちょうだい」 「ヒロインちゃん!?」 カリファは絶句した。こんな変態とヒロインちゃんを2人っきりになんてさせておけない… 「でもヒロインちゃん…」 「いいから!」 「…………分かったわ。気をつけるのよ。」 心配そうな顔を浮かべながらもカリファは席を外してくれた。ありがとう、カリファ。 「…いくらアンタでもやりすぎじゃないかしら…長官」 「ヒロインちゃん、………きれいだ」 「って話し聞けよ!」 「きれいだ。昔のお前も、30歳ほどのお前も。」 なんのサプライズ?…こんな真面目な長官見たことないんだけど…油断作戦って奴なわけ?…バカじゃないの?こんなんでこの私が怒りを沈めるわけないじゃない! 怒りと緊張せいで心臓がバクバクいってる。 ─────あれ?なんで私緊張してんの? 「ヒロインちゃん、」 「な、に?……んッ…」 声が近い…と思う方が遅かった。長官の甘い匂いが、激しく私の中を満たしていく。何コレ。顔が熱くなってきた。ああ、長官の口と、私の…く、口がくっついてる…!やめて!苦しい!息が続かない!やめて…ダメ……やめ…て…やめないで… 「ん……ッ…はぁ…あ」 「…はァ。エロいなお前」 はなれ……ちゃった。顔がまだ熱い。嫌、顔だけじゃない。躯も薄く汗をかいてる。何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で? 一回離れたはずなのに、また長官が近づいてくる。その距離およそ1センチ。 ダメ、それ以上近づいちゃ… …私… ………私 ………おかしくなる!! そんな願いを裏切って長官が私の後頭部に手を添えて耳元で熱くささやいた。 「どうだ?大人の味は」 少女アダルト計画 (私たち、晴れて付き合うことになりましたー!!)(えぇぇえええ!!?)(ちょ、長官!俺との約束は!?)(あ、すまんジャブラ!忘れてた!) ‐‐‐‐‐‐‐ \^Д^/ 本当は心のどこかで 長官が大好きな、 ヒロインちゃんちゃんでした!! [前へ][次へ] |