「……」
雨みたいな雪が私の表面積を濡らす。それは柔らかく積もる雪とは違って、痛かった。でも私には目の前にあるこの墓のほうが、無機質な色をしていて痛い。静かに、静かに私と墓は濡れていく。
「na ka ni ha i ri ma sho u」
カリファが何か言った。でも私はそれを聞き取れられない。異国の言葉のようにカリファの声だけがくすんで聞こえる。
「se me te ka sa wo sa shi te」
わからない。分からないよ、カリファ……あなたは何を言っているの?何を私に伝えたいの?私なんでカリファの言ってることが分からないの?
「カ、リフぁ…」
もう何時間も外の雨雪に打たれたせいで唇がかじかんでしまった。
「na ni?」
嗚呼、寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい。
側に人が居るのにまるで独りで居るみたいだ。取り残された反骨分子のように。嗚呼、分からない。なぜこんなにも空虚な気持ちなの?なんで独り取り残されてしまった気分なの?満たされない心が、更なる孤独を望んでいる。もういっそのこと、独りになってしまった方が楽なんじゃないかしら。
「na ni?」
「ひ、とり…に…して」
カリファは私の意志を受け取ると、黙ってきびすを返した。雨雪によりビチョビチョのぬかるみができたこの墓地で、ついに私は独りになった。
目の前の墓も何も言葉をかけてくれやしない。
そこで私は、一番好きな言葉を思い出した。
「…る、っ…ち……」
その言葉を口に出すと、なぜか目の縁から涙が溢れた。
「る、ち……るっ…ちぃ……」
どんどん涙が溢れてくる。
「るっち…!…ル、っちい!」
雨雪に混じって私の顔の面を流れる度に濡らしていく。
「るっ、チィ!ルッチ、ルッチ!」
涙で墓がかすんできた。
「ルッチぃ………
…さびしいよおおおおお!」
それでも墓は答えてくれない
(雨雪よりも冷たい私の心は、)(まだあなたの墓石よりもアタタカイのかしら?)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐
宮沢賢治の永訣の朝にを
読んで浮かびました。
宮沢賢治の方は未来性あるけど
これは…………無いね(汗)
カリファのセリフは
「中に入りましょう」と
「せめて傘をさして」です。
わかりにくくてすみません!
20090509
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