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54:【たどり始めた一歩目】


目的の島に着いた白ひげ一向。

今回キフリは船番ではなく自由行動組だ。久々の陸地に浮き足立って降り立つと早速街の方へ向かった。

まずキフリが島に着いてする事は銃弾の補充だ。その他銃の手入れに使われる油や調子が悪くて自分じゃどうにもならない様なら修理にも出す。

今回は銃弾の補充だけで終わりそうで、その後すぐに綺麗なオネーサンを引っ掛けに行けれる。

キフリはそんな事を考えながら内心ニヤニヤしながら歩き続けた。

街に着きする事はして満足し、歩きながら通りすがりの女の子達を品定めするキフリと言う名のナンパ・チャラ男。

ふと少し遠くに荷物を運んでいる20代くらいの美しい女性を発見したナンパ・チャラ男。

そしてこのナンチャラ男の脳は、この後の展開がシュミレーションされしっかり構成されたのに要された時間は1秒。

軽快な足取りでサッと近寄り笑顔で話掛ける。


「お姉さん、それ運ぶの手伝いましょうか?」
「え?」


20代くらいの美しい女性は驚いた様子のない様な顔でキフリに振り向いた。

そしてにこりと微笑むと、臆することなく言う。


「それじゃ頼むわ。これとそこの椅子ね。向こうに運んでくれればいいから」
「分かりました。・・・お姉さん、机と椅子を外に出して何をするつもりなの?」


案外ずけずけと物を頼むのに少し面食らいながらも、会話を途切らす事がない様に続ける。


「んー?私はねー、路上で占いをやってるのよ。凄いのよ私、不思議な力持ってるのよ」


フフン、と子供っぽく自信たっぷりに言ったお姉さん改め占い師に笑い声を上げながら冗談めいた様に、


「へェ占い・・・。それじゃその不思議な力でお姉さんと俺の、相性も分かっちゃったり?」
「そうねェ・・・。うん、はっきり言って最悪ね!」
「え・・・」


上手い具合に回してみたつもりだったが、それはそれは素敵な綺麗な笑顔でそう返されたものだから机と椅子を置きながらナンチャ男は凹んだ。


「よしよし。ボク、ありがとうね。いちいち運ぶの面倒だし大変だったから丁度良かったわ。寄る年波には勝てないわー」
「(よしよし・・・?しかもボク?;)いえいえ、お役に立てて良かったですよ。それにお姉さん若いじゃないですか」


考えている事は顔に出さずに笑顔で応え、シュミレーションした通りにこれから、せめて占いの仕事を終わった後にでも誘う事が出来ればと口を開けようとした途端、


「そうだ、運んでくれたお礼に占ってあげるわ。何時もの料金の3分の2で」
「えっ?本当ですか?」


向こうからまだここに居てもいいと取れる言葉をもらったのでそれに内心ガッツポーズを決めたなむty、ナンチャ男。


「料金いくら?」
「10000ベリーだから・・・ちょっと計算して」
「いっ、10000ベリー!!?」
「なぁに?安いでしょ?しかもそこから3分の1も引いてあげるんだから」


キフリが驚愕の声を上げたのに、占い師の女性はムッと少し不機嫌な顔になった。


「それに私、ここらじゃ結構有名なのよ?120%の確立で当たるから」
「(それでもぼったくりじゃねェの!?でもせっかくだし、)10000の、3分の2っつったら・・・割り切れなくて6666ベリー・・・」
「それじゃそれで。あ、一応お代は占い終わった後でいいから」


「でも、」とにっこりこれまた素敵綺麗笑顔で占い師は続けた。


「払わなかったら私の力全て使って呪っちゃうわよ?」
「(ええええ!!?;)あ、えと・・・ご冗談を・・・?ハハハ」
「あら、私の不思議な力歯止め利かないと怖いわよ?何十年か前にカップルの行く末を占ってあげたら払わずに帰ろうとしたから、私怒っちゃって・・・」


フフフ、と笑みを深めたその様子にキフリは背中から嫌な汗を流したのだった。そしてこの人には逆らってはいけないと言う事が一瞬にしてインプットされるのだった。


「(何か俺、声掛ける人失敗したな。・・・あれ、何十年か前つったか今?)」
「まっ、いいわそんな事!そうねェ・・・」


後悔と疑問が湧きつつも占いはしてくれる様なのでじっと待つ。


「・・・ボク、大変だった様ね」
「!」


占い師の顔が真剣みを帯びた顔になりその様な事を言われ、キフリは自分の過去、そして今の今まで忘れていたが最近見た夢を思い出した。

少し緊張した面持ちで見つめ返せば、占い師はそのままの顔で言う。


「女の子にはあまり恵まれなかったみたいねー」
「(そっちか!!)」
「何て言うか、ボク、女の子の方からフラれる方だったでしょ」
「・・・まァ」


それは本当の事だったらしい。キフリは少し詰まった顔になる。


「それに損な役回りしてるし。はーっ、ボク良い子なんだけど相手をどこか異性として見てなかったんじゃないかしら」
「そ、そうですか・・・」


実はキフリ、それには身に覚えがあるのだった。

海賊という立場故、島にずっといる訳ではない。ログが溜まるまでの間楽しく過ごす事が出来る相手が見つかればいいのだ。

ログが溜まる期間が長ければ、必然と相手と一緒にいる時間も長くはなるのだが、ほぼと言っていい程最後には相手から切り出されるのだった。何って別れ話。

そう言う予兆があったり、またなは無かったりするがやはり切り出すのは相手から。キフリはだいたい全くその気はないのだが。

そしてよく持ち出される話はと言うと、"遊びだとしても私を子供扱いしないで"や"年下のあなたにお兄さん面されるのは嫌"などだった。そう、キフリは年上好き。

じゃなくてキフリはどうやら相手を子供扱い、妹扱いする傾向があるらしい。本人はよく分かってない様だが。


「身に覚えあるでしょ」
「ハハッ;そうですね」
「・・・でも、もう少ししたらボクはそんな状態から脱せられるわ」
「えっ!?本当ですか!!?」


思ってもみなかった嬉しい言葉に身を乗り出すキフリ。

占い師は綺麗に笑った。


「ボクの周りに問題を解決してくれる娘がいる。そして"気付いた"ならばきっと"ボク"が、解る」
「・・・っ!!?」


キフリはハッとなって占い師を見た。

占い師はフフフ、とまた笑みを深めて笑うと手を差し伸べる。


「それでは6666ベリー頂戴致しまーす」
「、あぁはい。少し待って・・・」


聞きたい事はあったがどうやらここまでの様なのでキフリは自分のポケットから財布を取り出した。

がその時。


『どりやァァァァアアア!!!』
「のぐぅわっ!!!!」
「あらー」


横からドロップキックを喰らったキフリはズシャァァァァ!!と道を滑った。

キフリにドロップキックをしたのは、今回は船番のハズだったが何故ここにいるのか、


「、ひずにィィィ!!?てめェ何てことしてんだコラァ!!!」
『フンッ!!お前こそ何してんだこのタラし!!スケこまし!!綺麗なお姉さんにお金まで渡して・・・!!そんなに欲求不満かてめェ!!!』
「何言ってんだバカ!!つかでかい声出すな!!!」


ぎゃんぎゃん言い合いをしている2人。


「ちょっと落ち着きなさい君達」
『あ、はいお姉さん』
「切り替え早ェーよ!!」


美しい女性に声を掛けられ笑顔で振り向くひずに。渋々と言った表情で立ち上がりながら占い師を見たキフリ。

占い師は珍しいものを見た、といった顔をしていた。


「ボク・・・さっき私、ボクの周りに問題を解決してくれる娘がいる、って言ったわね?」
「は、はい」
「・・・何となくボクからそんな娘がいるのは感じとれたんだけど、まさかソウルメイト・・・」


最後はごにょごにょと独り言になっていて聞き取れなかったが、聞き慣れない単語に首を傾げる。


「ソウルメイト?何ですかそれ」


説明を求めるキフリに占い師は淡々と答える。


「魂・・・前世の君達の魂が恋人、あるいは家族みたいな親しい仲だったのよ。生まれ変わっても魂は覚えてる。2人は自然と惹かれあうものなの」


「それがソウルメイト」と占い師が言った言葉に説明を求めたくせに途中から聞いていなかった。


「(は?待てよ。君達?君達って俺と、俺と、え?まさか、)」


ぎぎぎぎっ、と首をクエスチョンマークを飛ばしまくっているひずにへと回した。


「(はっ、ええええ)ぇええええ!!!??ちょちょちょちょ待っ、えぇっ!!?何ですかそれ!!?」
『キフリうるさっ!!お姉さん、さっきから何の話をしているんですか?』
「ソウルメイトの説明は聞いてたわよね。君達2人はそうだって事よ」


にこりと微笑む占い師に2人は絶句し同時に顔を見合わせた。


「って言うか何でそんな、ソウルメイトだとか分かるんですか!?」
『そうそう!魂とか何で分かるの!?てかキフリとそんなんってショック!!』
「私には不思議な力があるのよ?それにしても珍しいわね。別世界から来た"落とし子"とソウルメイトだなんて」
『えっ!!?・・・本当に分かるの?』
「マジかよ・・・」


2人とは初対面のはずなのにキフリの問題(記憶や夢)やひずにが落とし子である事を当てたのだ。流石に信じる他ない。

半ば放心状態でいたキフリだったが、ひずには逆に目が輝き始めた。


『マジでェェェ!!?すっごォォいお姉さん!!こんな綺麗で美しい上に、そんな事まで分かるだなんて!!』
「あらヤダねこの娘ったら。私が喜ぶ事分かってるじゃないの」


ウフフ、と嬉しそうに笑う占い師とキラキラと目を輝かせながらひずには他にどんな事が分かるのか聞こうとした。

だがそこでハッとなるキフリ。まだひずにが何故ここにいるのかが分からないし、これ以上占ってもらうとなると今度こそ10000ベリー払う事になるだろう。


「ちょっと待てひずに!それより何でお前はここにいる?」
『あっ、そうだった。僕が来たのは料理長にお使い頼まれてたんだった』


『初めてのお使い!なんちゃって!』とかおどけて言うひずにに脱力しつつも早くそれを済ます様に言う。


「それとお前、帰ったら覚悟しとけよ」
『え?何でさ』
「てめェ最初俺にドロップキックかましただろうが!!」
『・・・忘れちゃった☆じゃあねっ』
「あいつ・・・!!!♯」


脱兎の如く駆けだしたひずににイライラを募らせながらも占い師に振り返る。


「占い師のお姉さん、ありがとうございます」
「どう致しまして。あの娘がボクの鍵ってところよ。頑張ってね」
「・・・お姉さんのその不思議な力は、俺の事、全部解ってるんですか?」
「さぁて。まっ、そこは自力でするしかないのよ。私は助言しか出来ない。それが占い師ってもんだし」


カラカラと笑う占い師に、キフリも笑みを浮かべた。声を掛ける人を失敗したなどと思ったが、結果的には良かった。

失くした自分の記憶。7年間続いた夢の事。それらが全てもう少しで解る。

ようやく一歩が踏み出せると思うと嬉しくなった。


「ボク、お代忘れないでね」
「(・・・支払わなくても良さそうな雰囲気だったのに)」


だがそんな事に気を病んでいる必要もないので、代金を支払うとキフリは船でひずにを待ち構えるべく走りだした。

その後ろ姿を見送りながら占い師は呟いた。


「不思議な2人・・・別世界にあった魂がまるで会いに来たかのような。・・・ううん、

・・・・・・
会いたかったのね」


フ、と息を漏らした。


「(それにしても、私以外の落とし子なんて久しぶり。最後に見たのは・・・50年ぶり?)」


そして楽しそうにフフフ、と笑いを零し彼女は占いの仕事に戻った。



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うーん、狭い知識では本当に駄文しかならないです・・・orz

今回長くなっちゃいました(´^ω^`)そして楽しくなってきた!




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