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52:【世話の掛かる】


ども、キフリです。最近出番が少ない気がするキフリです。気がするっつーか気のせいじゃないな。

そんな俺ですが最近気になる事がある。その気になる事と言えば俺の出番もそうだがひずにの事だ。

理由を言う前に言っておくが"気になる"って意味を間違えてもらっちゃ困る。俺は勿論あんな貧乳の事を恋愛観に入れちゃいない。そこはあくまでも了承してくれ。

あいつ、ひずにはここ最近特訓に真面目だ。

いや、真面目っつったら前から真面目だったんだけどよ。そりゃマルコ隊長から逃げるぐらいにサボる事はあったけど、最近のあいつはそんな事もなく積極的に取り組んでいる。

あいつは最初から真面目だった。こと体術や剣術に対しては。まるでそれが自分の使命の様に体で覚える事は必死になってマルコ隊長の特訓に付いていった。

エース隊長がひずにに刀をやった後日、「ひずには俺達を、家族を守るって言っていたから感激しちゃった・・・!!さすが俺の愛娘!!!」とかって言っていたのを覚えている。泣いてんだか笑ってんのか判別しにくい顔で言われたからそりゃ覚えてた。

俺が思うに、いっちょ前にあいつも白ひげ海賊団の仲間を、親父の言う家族を守ろうと思ってんだろう。だからあんなに必死に特訓して強くなろうとしたんだ。

その点では同じ意見だ。俺も拾ってくれた親父には感謝してるし同じ船の上の仲間達は家族も同然。家族は守んねえと。

ちょっと脱線しかけたが、話を戻す。こと体術や剣術には真面目だったひずにだが、

最近それが、つってもアラバスタから帰って来てからか、輪にかけた様になったっつーか・・・。なんだ?目が真剣なんだよ。

今まであいつと組み手した時に何時も見ていた目とは違う。迷いの無い凄く真剣な目。

だが別に言えば焦っている様にも見える目だ。あいつがどんな思いをしてそんな目をしてんのか、俺には分からねェけど。

ここからは俺の憶測に過ぎないけど、アラバスタから帰って来てからって事は、アラバスタに滞在している間に何かあったんだろう。確かひずにがアラバスタに行った時期、丁度アラバスタでは大規模な戦争があったはず。切欠はそれか?

今思えばあいつは敵と対峙した事がない。本物の戦闘を知らない。

場数を踏んでない奴が急にそんな所に飛び込んだならば動揺し恐怖を感じるだろう。いくら体術や剣術を極めていたって戦場という空気を知らなければ只の腕の持ち腐れだ。

きっとひずにはそんな状態で何も出来なかった。立ち尽くして見ている事しか出来なかったハズだ。

そんな自分を無力に感じたのかもしれねェ。今までひずには真面目に、俺達を守るという想いで特訓に取り組んできたから尚更それは重くのしかかり潰れそうになっただろう。

潰れそうになった所はエース隊長の弟、麦わら達が支えてくれたんじゃねェかな。だから今、ひずにはあんな真剣な目で特訓に打ち込んでる。

俺達じゃない、仲間じゃない奴等にひずにが支えられたってところはいけ好かねェけど。本当はそれは俺達の役目だったんだ。

ひずには俺達の仲間、もといあいつが思っている家族なんだから。

家族が第一にいなきゃなんねェだろ?俺はそう思ってる。記憶がない俺に息子と呼んでくれた親父という存在が何よりもあの時は救いだったから。

それにひずには1人でこっちにやって来た。俺達の事は漫画で知ってるっつってたけど、この世界じゃなくて知らない世界だったら?

知ってる世界だったからまだ救われただろうな。だがあいつは前に1人の時に泣いてた。見ては無いけど。

でも1人で抱え込んでんのは事実。もっと周りを、俺達を頼ればいいのに。

俺だって戦える。お前だけが家族を守る訳じゃない。家族を守んのは家族皆だ。お前だけがそんな必死になんなくていいんだよ。分かってんのか?

つっても、あいつにとっちゃこの白ひげ海賊団って言う家族が一番に大事だから分かってないんだろうな。大事が故に周りが見えてないってのも困りもんだ。

そんなひずにが、皆に大事だと思われている事にもきっと、あいつは気付いてないんだろうな。笑える。

・・・と、さっきも言ったがこれは全部俺の憶測に過ぎない事なんだけどね。憶測で根拠なくても、なんとなくそうは思えちまうところがある。

それはひずにって言う奴の人間だから、かな。

ひずにと会って結構経つし、それなりにひずにの事が分かっているつもりだ。分かんねえ事あっけど、それはそれでだ。

さっきも言った様にあいつは仲間で家族だ。それ故に信用してる。信用してるからこそ、そう思えんだ。

俺が思いに耽っている時、俺の思考の中心であった人物が急に目の前に現れた。

どこか神妙な顔をしたそいつは俺の顔を見てるだけ。俺はしびれを切らして聞いた。


「・・・何の用だよ?」
『キフリ、心して聞け』
「・・・ハァ?」


急なその言葉に片眉がつり上がる。何だってんだ。


『その、僕さ、射撃がしてみたくなって・・・。キフリの銃借りたんだ』
「・・・それで?」


何だろう。物凄く嫌な予感がしてきた。つーか何時の間に俺の銃借りてんだよ。

俺は自分の腰に手を伸ばす。ない、ここに何時も入れてある銃が。まさか俺が自分の獲物を取られる程考え込んじまったなんて、不覚。


『んで、樽に目印を描いてそれを狙って撃ってみたんだ。そしたら・・・』


ひずにが顔を歪ませた。

笑いを堪えるのに超必死な顔に。


『マルコ隊長の、バナナを1本撃ち落としちゃった!!!』


は?


『撃った向こう側に運悪く居たみたいで!!マルコ隊長の足元にバナナが1つ落ちてた!!!』


言う事は言い切ったとでも言う様にぶはははは!!!と笑い出すひずにを見て俺も笑おうかと思った。

だが待て、


「おいひずに!!俺の銃は!?お前持ってねェじゃん!!」
『あ、ごめん。あの場に置きっぱなしにしちゃった。逃げる事しか考えてなかったから』
「おおおおおまっ!!!今すぐ取ってこい!!俺がやったって勘違いさr「ひずに・・・」!!!??」


こここの声はっ・・・!!!;


「ままままマルコ隊長ゥゥゥ!!!ままま待って下さい!!勘違いですよ俺じゃありませんんんん!!!」


む、無理だっ!!!マルコ隊長の今の姿、きっと悲惨な事になっているハズ!!!見てしまったら俺はお終いだ!!殺される・・・!!


「ひずにが!!ひずにがやったんです!!!ひずにが全て悪いんであって俺はっ!!!」
「さっきから何をそんな慌ててんだよぃ。つか人の顔を見て言え」
「無理です!!今マルコ隊長の顔見れません!!寧ろ頭!!」
「ハァ?頭?」
「マルコ隊長の頭髪の毛がっ、髪の毛ないんでしょ!?取れちゃったんでしょう!?」


俺は必死にマルコ隊長から顔を背け続けた。だってそうするしかないだろ!!そんなマルコ隊長の現実なんて可哀想過ぎて見てらんねェ・・・!!


「キフリ・・・てめェ何言ってんだよぃ・・・」
「・・・;」


やべェよ!!マジでキレてる!!つか元凶はひずにだろ!?お前何すげーニヤニヤしてんだよ!!そんな場合じゃないだろ!!

俺がひずにを睨んでいると後ろから肩を掴まれた。や、ヤバいっ・・・!!


《キフリ、マルコ隊長を見なよ》
〈! おい今そんな事、〉
《いいから、つかキフリ誤解してない?》
〈は?〉

「おいキフリ・・・てめェは俺の頭が禿散らかってるって言いてェのかよぃ・・・?」
「そそっそっ!そんな事は!!」


全く持ってそんな事言えねェ!!今そんな状態なんだろうから尚更言えねェ!!


《だから!!キフリ誤解してるでしょ!!》
〈ハァ!?何だよ!?〉

「こっち向けよぃキフリ。しっかり見やがれ」


俺は本当にテンパってて、この時既にマルコ隊長の方を向いとけば良かったんだ。


「無理ですよマルコ隊長ォォォ!!マルコ隊長の姿見たらいけないッスよ!!」
「だからてめェは俺の頭が禿散らかってるって言いてェのかァァァ!!!」
「ぐぼぁっ!!!」


殴 ら れ た 。


ズシャァァ!と俺は顔面から滑った。目の前にはひずにの足。どうやらしゃがんだ様で。


『キフリー、マルコ隊長のバナナはバナナでも頭の事じゃないよ。マルコ隊長が持ってた果物のバナナだよ』


ぽんっと頭に手を乗せて「やれやれキフリったら早とちりー」なんて言うひずにの笑い声を最後に俺の意識は飛んだ。結構強かったんだ、マルコ隊長の拳。

後に聞けばバナナが撃たれた事にびっくりしたマルコ隊長は、射撃された場所にあった俺の銃を見つけ持って来てくれたらしい。俺が撃った訳じゃないんだが、まず撃ったとしても俺はその場から逃げたりはしない。・・・多分。

そんで親切心で持って来てくれたマルコ隊長に俺は「頭が禿散らかってる」と取れる思わせぶりな事を言われてキレた、と。・・・マルコ隊長、本当に申し訳ない。確かに元凶はひずにだが俺だって早とちりしちまったのは悪い。

悪いけどもよ。


「腹が立つ・・・!!ひずに今度見かけたら許さな「なんでひずにを許さないんだ?」・・・エース隊長、」


そんな笑顔で手に炎を纏われても困る。つかなんで聞いてたんだ。エース隊長のひずにバカにはもはや悪意さえ感じると前から思っていた。

もうあいつに関わると余計にストレス貯まるな・・・。全く、

世話の掛かる妹だな。



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最近出番の少ないキフリ君に出てもらいました(`・ω・´)+

キフリ君はこんな事考えてます、っていう今回の話ですww

ひずにはアラバスタで学んだ事から特訓は真剣に真剣に取り組み始めた、と言う事なんですが・・・わ、分かりにくい・・・。そして関連性が見えにくい・・・。

キフリ君はひずにの事は世話の掛かる妹みたいだと思っています。

なんだかキフリ君が損な役な感じですねww

そしてやはり最後のオチ、無理やりにも程がある・・・。全く持って後先考えない管理人の性格が如実に現れます・・・。




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