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51:【気付くのは】

次の日。

ひずにとエースはキッド海賊団を見送りに来ていた。


「今日はわざわざすまない。うちの我侭を聞いてくれて」
「なんで我侭になってんだよ」
『我侭だなんてそんな!』


ひずにはキラーにそう言われぶんぶん手を振りながら言う。

そこで笑顔になってひずにはキッドに言う。


『何と言うか、海賊で敵同士って言う立場なんだろうけど、ファン何かじゃなくて友達を見送りに来たって言うか・・・』


ハハハ、と声を上げながら、


『キッドさんに友達なんて何か可笑しいけどね。でも今はそんな気分なんですよ』
「・・・ひずに」


キッドが感動した、とでも言うような顔になる。


「俺も、お前とは友達だと思「待て!!!」、は?」


キッドが喋っている最中を遮ってエースが入る。


「まさかひずにと友達から始めようって気なのか!!?そんな、そんな事認めないからな!!!」
『ちょっとエース急に何言い出してんの。頭に何か虫でも湧いたの』
「ちょっとそれ酷くない!?パパはお前の事を心配してだな」
『すいませんうちのバカが。頭ん中虫が湧いちゃったみたいなんで許してやってください』
「ちょっとォォオオ!!?」
「(酷い言われ様だなあの火拳が・・・)あ、あぁ(つっても昨日のを見ちまったんだからなァ・・・)」
「ああ、気にしていない。・・・では、俺たちはそろそろ発とうか」
「(気にしていない、ってそれもまたどうなんだ)おぉ。じゃあな、ひずに」
『うん!』


2人は船上に上がり、仲間に出航の合図を出した。

帆は風を受けてゆっくりと岸に沿って動きだした。

ひずには船に平行して走り出した。


『ばいばーい!キッドさァん!!また何時か、会おうねェーーー!!!』
「ああ、またなー!!」


ぶんぶん手をひずにが振れば、キッドも腕を上げて答えた。キラーもその隣で軽く手を上げていた。

走り続けるひずには、どうやら船が岸から離れるまで見送る様で付いてくる。そんなひずにに嬉しく思ったキッドは見続けていた。

湾曲した岸から離れ、とうとうひずにも追って来る事は出来なくなる。

と思いきや、


『元気でねー!』
「おう!ってアレェ!!?おまっ、ちょっええええ!!!??」
「ひずに・・・!!?」


段々と姿が小さくなるはずだった姿が変わらずそこに、いや、翼で飛んで追いかけて来ていると言うのだからキッドとキラーは驚愕の声を上げたのだった。

そしてそのひずにの後ろにストライカーに乗ったエースも顔色変えずにいるのだから固まるしかない。


「ててててかひずにっ!!!お前・・・!!!」


だがそこで我に返ったキッドが言葉を発す。


「おまっ、お前!・・・天使だったのか!!?」
『はいー?何言ってるのー?』


急なキッドの言葉にエースのストライカーに降り立ったひずには怪訝そうにキッドを見やる。


「だからお前!!天使だったのかって言ってんだよー・・・」
『? 天使?何を言っているんだねあの人は』


ストライカーは止まっていて、進み続ける船からはどんどん距離が開いていっている。

当然キッドの声は段々小さくなり最後は聴き取りずらくなっていった。


「・・・はっ!まさか!ひずにがいくら可愛いからって天使だとか言って口説こうとしたんじゃ!!!」
『本当にエースは頭に虫が湧いてるんだね。僕に伝染るかもしれないから近寄らないでよ』
「ちょっと本当にひずに酷くなァァァアい!!?そんなにパパが嫌なの!!?あっ!!まさかコレが!コレが反抗期・・・!!」


一人嘆くエースにまた始まった、と思いひずには宙に舞いエースから離れた。

「ちょっと待ってよォォォ!!!」と泣きながらひずにの後を追いかけだしたエースだった。


* * *


「キラー・・・ひずには言ってたんだ。火拳に拾われた、って・・・」


船の船尾、キッドが深刻な顔でキラーに喋る。


「あいつ、天国から落ちてきちまった天使なのかも・・・」
「・・・・・・」


まず、天使みたいな神秘性もなければおしとやかな感じもない。むしろがさつで破天荒だ。

「あいつもう天国に戻れないのかな・・・」とかさっきの言葉を聞いていなかったら誤解をしてしまうだろう事を言うキッド。

キラーは自分の頭が喋った事に関しては、もう一から常識を教えないといけないのではないか、と。

ただの天然ならいいのだが、子供じみていると言うか・・・。そのせいで自分は船内でお母さん的ポジションなのか、と。

もっと別な理由があるだろう。一般的に考えるならひずには能力者だとか、と。

様々な疑問や問題にため息をこぼしたキラーだった。

そんなキラーの思いも知らず、「天使って本当にいるんだなァ。じゃ、天国もあるんだな」とか感心しているキッドがキラーの溜め息を更に大きくしている事なんて分かっちゃいなかった。


* * *


『たっだいまー』
「あれ?ひずにだけか?」


帰って来たひずにを迎えたのはキフリだった。キフリが言った通り、ひずにしか帰って来てないのだ。


「エース隊長は?」
『撒いてきた!』
「ハァ?なんでそんな事、」
『泣き喚いていたから』


ニコニコしながら言うひずににまたか、と思いつつエースが本当に不憫に思うキフリだった。


「あのな・・・。確かにエース隊長が泣き喚きだしたらうざいけどよ、少しは優しくしてやれよ」
『優しく?別に厳しくしてる訳でもないじゃんか』
「お前それわざと?」
『はい?わざとも何も普通だと思うけど?』
「あ、そ・・・」


(一番エースに大事にしてもらってるって、こいつも何時気付くんだろうなー・・・)


遠くから聞こえだしたエースの大声と、気付いたひずにが舌打ちをして自分の部屋に退却する様を、苦笑しながらキフリは見送った。


互いが互いに大事だと思っている事に2人が気付くのは、本当に何時になるのやら。


   next






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↓反省


無理やり感MAX!!って言うのは今更ですからスルーして下さると嬉しいです!!(泣)

キッドがもう天然といいますか・・・億越えなのに・・・。いや、こんな感じが出したくてキッドさん子供っぽい思想にしちゃいました。外見大人なんですが中身子供っぽかったら可愛いじゃないですか!!私大好きですそう言うの!!(←誰も聞いていない

エースとひずにちゃんの互いの思いってのを表したかったんですがそこは私の文章力。理解に淀む。
2人共互いに大事に思っているんですがどうにもひずにちゃんをツンツンツンツン(…)デレにしてしまいますwwデレが出るのは絵とか企画ぐらいですが・・・(本編で出せ

これから先にちょっとずつでも恋愛要素を・・・あ、無理かも(泣)(←




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