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56:【実際目の当たりにして確証する】

キフリがひずにに問い詰めてから数日が経った。

ひずにからは何の話もない。それに何故だかよそよそしい。特訓の時以外でだ。

絶対解いてやる、などと息巻いたがこうも音沙汰無しだと自然に気が滅入るキフリだった。

だがあの占い師はもうすぐだと言っていたからもうすぐなはずだ、と自分自身を元気づけていた。

そのもうすぐは何時なのかは分からないけども。


『エースー。そんなニコニコ顔でまとわりつくな』
「なっ!ひずに何か冷たい!」
『そんな事ないよパパ。パパに冷たい態度なんて取らないよ(棒読み)』
「良かったァァァ(泣)また反抗期が出たのかと・・・」


ひずにのツンを反抗期と捉えているらしいエース。見事な親の見解である。

そんな2人を遠くに見たキフリは小さくため息をついた。ひずにから何の話もないのにこちらから話をしたって何の進展もない。

それが分かっていたからキフリは構う事なくその場を離れた。


『エースー。何かキフリがおかしいよ』
「そうだな。どこか元気がないな」
『おじいちゃんに聞いたんだけど、キフリって記憶失くしてるんでしょ?』
「! 聞いたのか」
『うん。キフリが聞けって言ったから』
「あいつから?」
『うん。・・・何かねェ』


ひずにはキフリが聞いてきた事を話した。


「何ィィィ!!ひずにを拉致監禁しただとォォォ!!」
『今そっちに食らいつかなくていいから!!聞けコラ!!』
「また反抗期・・・(泣)」
『はいはい。んで、夢の事を聞いたりしてきてよく分からないんだ』
「夢・・・。俺は分からないが付き合いが長いったらマルコだ。マルコなら何か知ってるんじゃないか?」
『なる程・・・マルコ隊長か!ナイスエース!たまには役に立つじゃんか!』
「(たまになのォォォ!?)うん、ありがとう・・・」


本当可哀想なエース。


『よし!《マルコ隊長ー!》』
〈何だよぃ〉
《マルコ隊長、キフリの夢の事で何か知ってる?》
〈・・・どうした?〉
《その分だと知ってるね。全て吐け》
「それが人に頼む態度かゴラ」
《すんません》


何時の間にか後ろから来ていたマルコ。ひずにはてへっ、としていた。エースは"?"顔だ。


「それで、何があったんだよぃ」
『かくかくしかじか』
「! 本当か!」
「伝わったの今の」


マルコは考え込む様に腕を組んだ。


「夢ってのは男女が話してる夢だろぃ?」
『うんうん。それを僕も見た事はあるんだ』
「・・・ちょっと待てよぃ」


―――記憶を失くしてから夢を見だしたらしいキフリ。

ひずには異世界からやって来たが占い師によるとキフリとソウルメイトという繋がりがある。

ひずにもキフリと同じ夢を見た―――


「何かしらその夢が絡んでるっつー事は関係がないなんて言えないだろぃ」
『だろーねー。・・・何が?』
「お前が」
『・・・ん?』
「確実にお前はキフリの記憶の鍵だろぃ」
『・・・わっかんない☆』
「逃げんなコラ」


逃走しようとしたひずにをとっ捕まえ、また悩みだすマルコ。


「キフリそんな事あったのか・・・。何時ものあいつからは考えられないっつーか・・・」
「まァ船に乗った最初の頃のキフリを知らないのもあるせいだろぃ。それより、」


じ、とひずにを見るマルコ。


「ひずに、あいつの記憶取り戻してくんねーか」
『え?』
「元よりキフリは記憶喪失だったから船に乗るしかなかったんだ。もし記憶が戻りゃあいつは、」
「ちょっと待てよ、マルコ」


途中でエースが何かに気付いた様にマルコに言うが、それを遮ってマルコは言った。


「あいつは本当の家族の所に戻る事が出来る」
『!』
「本来あいつ自身、記憶を取り戻したいと思ってたはずだ。という事は家族の元に帰りたいって事だろぃ」
『・・・・・・』
「何言ってんだよ!キフリは俺ら白ひげ海賊団だろ!?俺らが家族じゃ「エース、」」
「さっきも言ったろ。言わばあいつは不本意だったみたいなもんだ。帰してやんのが一番なんじゃねェのか・・・!?」


ぐ、と詰まるエース。だが言い返す。


「でもキフリがそれを望んでのかよ?家族の元に今更帰りたいって!」
「さァな。だが今更も何も記憶を取り戻したら分からねェだろぃ」
「なら!・・・」
「取り戻させないとでも言うつもりか?・・・あんまりだろ」
「・・・・・・」


エースは震えながら俯いた。マルコは厳しい顔だ。ひずには、


「・・・ひずにどこ行った」
「え!?」


その場から消えていた。


ドガァァ!!!


『キフリ!!!』
「え?」


部屋にいたキフリは目をパチクリさせた。無理もない。突然扉を蹴破って入ってこられたのだから。

そしてジワジワと込みあがる苛立ち。


「おまっ!!扉壊れたらどうすん、いや壊れてるし!!!」
『キフリ!!お前、記憶を取り戻したらどうする!!?』
「っ、あ・・・?」


込み上がった苛立ちは一気に消沈した。キフリはまじまじとひずにを見た。


「どうする、って。・・・」
『・・・答えェェエい!!!』
「うるせー!!荒らぶるな!!!;」


頭を振りながら喚くひずにに引きながらもキフリは黙ってしまった。


『・・・本当の家族の元へ帰る?』
「!」


ピク、と動いたキフリを見てひずにも黙ってしまった。

いやに沈黙が続く。


「・・・ああ、」
『!』
「考えた」


沈黙を破ったキフリの言葉に次はひずにが体を揺らした。


『だよな。元の家族のところに帰りたいとは思うよな』
「・・・ひずに?」
『よし、今から寝る!!』
「はァ?」
『夢見るかもしんないでしょ!』


ひずには笑顔でくるりと背を向け部屋を出て行った。

去り際扉は引っ掛かっていた状態のを軽く蹴って外してった。

キフリは口をポカリと開けて見送った。


「何だあいつは・・・」


キフリは前にも思った事を思い出していた。


―――あいつの作り笑いなんてものは見た事がねェけどきっと一発で分かる――


正に、その通りだった。


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何このシリアスゥゥウ!!!くっ、苦しい・・・!(自分で書いてるくせに

おかしいな・・・これエース寄りなんですけど、本当にオリキャラである彼がでしゃばってきた。ぐぅっ!(←




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