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「危ねぇ!長太郎!」

「…………っ!」




『suFfer FroM』








「全く……何考えてたんだよ」

保健室。練習中に怪我した俺に向けられる呆れた視線。俺の足を手当てしながら宍戸さんは小さなため息をつく。
何を考えていたかなんて、そんなの分かりきった事。
2月14日。世間の流れに流されてバレンタインで悩む俺。渡すべきか、渡さないべきか。

「……いっ…!」

痛みによって思考が遮られる。ズキズキと痛む足と心臓。

ヤバい………泣きそう。

情けなさ過ぎる。いくら大会が近くないとはいえ、怪我するなんて。しかも結局優柔不断な俺。

外では跡部さんの声。いつも力をくれるあの声も、今の俺には虚しすぎるほど響いては消えてゆく。

「……なんかあったのかよ」

頭を掻きながら仕方ないと言うような表情を向けられる。
分かってます。あなたがこうゆう状況が苦手だって。
……分かって……る。苦手だと分かっていてもあなたに側にいて貰いたいと甘えてしまう。

「……いえ、何もないです」

出来る限りの笑顔を作り目の前の相手に向ける。何もない事にしたい。怪我した事もバレンタインも。

あなたの何度目かの呆れたため息。もう、何がしたいかさえ分からなくなってきた…。
顔を俯かせて宍戸さんから視線を外す。宍戸さんが今どんな顔をしてどんな事を考えているかは分からない。


─ドクン──。─ドクン──。


理由もないのに心臓が高鳴る。怖い、ここにいるのが……。拒絶されている気がする。


すると不意に暖かい腕の感覚。一瞬心臓の音が収まるも状況を理解すると収まった時間を埋めるように更に早まる心音。

「し……しど……さん…?」

抱き締められている。いつものは逆に宍戸さんを見上げようとするも見るなと言うように強く頭を抱かれる。

「……悪い。俺がウダウダしてんのが悪かったな」

優しく鼓膜に響く声。
強く聞こえる自分以外の心音。

「その…誕生日おめでとう。後で渡すから、プレゼント」

戸惑いがちに告げられた言葉に思わず赤面する。まさか誕生日を覚えていて貰えるなんて思わなかった。

「しし……どさん……」

小さな声で名前を呼べばぶっきらぼうに『なんだ』と返答してくれる。

「俺、宍戸さんに渡したいものが…あるんです……」

不思議そうな顔をしながら腕の力を緩めてくれる。小さな優しさ。だけど大きな嬉しさ。

「今日、バレンタインじゃないですか。だからチョコ、持ってきたんです」

そう、宍戸さんの好きなミントのチョコレート。トレードマークの帽子と同じ青いラッピングをして。

「部室にあるんですけど、後で渡しますね」

満面の笑みを作り上げる。実際どんな表情をしてるかはわからないけれど、少なくとも嫌そうな顔はしていないはず。

一方宍戸さんは意外そうな顔をしながら俺の顔を見ている。多分貰えるなんて思ってなかった、そんな感じの表情。

「お前、もしかしてそれで今日練習に集中出来てなかったのか…?」

驚いた顔のまま口を開く宍戸さん。まさかの質問に顔が赤くなる。そんな表情を隠そうと再び俯く。すると上から明るい笑い声。

「お前、激ダサだぜ?」
「…知ってます」

再び抱き締められてはお互い顔を見合せ必然的な口づけ。いつの間にか外は茜色に染まっていて、宍戸さんの瞳が紅く見えた。



Fin.....







はい。
長太郎乙女化爆走中です(爆)
なんだかんだじれったいのがこの二人だと思います。
そして忍足辺りが影から覗いてるという裏設定です(笑)
推奨しながら初の小説で申し訳ないです…
だって不二塚がすk(黙れ

なにはともあれHAPPY BIRTHDAY!!
そしてハッピィバレンタインデー♪




あきゅろす。
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