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相変わらず混むバスに揺られて不二は学校に向かっていた。夏休みは終り２学期が始まるけれども部活引退まではまだ少し時間がある。もう定着したテニスバックを若干煩わしく思いつつも、携帯を開いた。
携帯のメインディスプレイには恋人と映るブリクラ写真。美人で、けれども男前でとても頼れる恋人──幸村との。全国大会が終わってからの付き合いだから関係はまだとても短いが、幸村が東京にいた間に少しばかり都内で遊んだ名残だ。
プリクラコーナーには『男性のみでの入場はご遠慮下さい』などという張り紙があった。それでも幸村は『大丈夫だよ。不二なら。』などと言うものだから若干ムッときたものの、実際注意されなかったのだからなんとも複雑な気分でもあるのだが。
そんな幸村は１週間前ほどに神奈川に帰った。大分前に感じるその１週間。再び携帯を閉じてぎゅっと握り締めた。
「不二。不二っ。」
呼び止められてキョロキョロと辺りをみたら後ろには菊丸の姿。相変わらず跳ねた赤っぽいくせっ毛がユラユラと揺れる。
「おはよう英二。」
「おっはよー。でさでさ、夏休みの宿題なんだけど…。」
「また今年もやってないのかい？」
挨拶も程々に相変わらずな友人との会話にクスクスと笑みを漏らしつつ携帯をそっとポケットにしまった。
今月は新しいサボテンを買うのを我慢して神奈川へ行こう、と決心する不二なのだった。
Fin.
新学期シリーズ第一段。レインはレインでもlaneの方のレインです。
今時の中学生男子ってお小遣いどれくらいもらっているのか分かりませんがきっと東京・神奈川間を行き来できるぐらいは貰ってます……よね…？
不二のお小遣いの使い道にうっかり萌えた結果なのでした(笑)
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