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「不二〜!ねぇ不二ってタカさんの何処が好きなの?」
「……え?」
「あ、それ俺も気になってたんですよねー!何でなんですか?」

練習後、着替え途中の不二に菊丸と桃城が問い掛けた。不二と河村が付き合っていることは部内で知れ渡っている事。知らないとしたら余程彼らに感心がない人間か、あとはそういった話しに疎い、というよりも全く知ろうとしない部長だけだろう。

「うーん…。」と着替えていた手を止めて言葉を探す不二。興味深々の二人、と室内の部員たち。ぽん、と文字通り手を叩いて不二はにこやかな笑みを浮かべた。

そして、

「頼りなくて、でも優しくて、僕の言うことを困った顔しながら何でも聞いてくれるところ、かな。」

などと言ってのける。ぽかん、となった二人に相変わらず笑みを向ける不二。そして二人に更に告げる。

「だからね。僕のワガママをワガママと思わない寛大な心が好きなの。」

「ふ、不二……それは……。」
「あ、不二。ここにいたのか。そんな格好してると風邪ひくよ?」

菊丸の声を遮ったのは他の誰でもない河村隆本人である。上半身裸のまま話をしていた不二は楽しげに返事をしつつ着替えを再開する。その間不二の私物をカバンにしまってあげていた河村を見て、憐れみなのか何なのか分からない感情に駈られる二人を余所に。

「タカさんタカさん。」

そして河村が一段落ついた所で菊丸が河村に声を掛けた。ちょいちょい、と手招きして河村を呼び寄せ、さらに小声で言葉を続ける。

「タカさんは不二のどこに惚れたの?」

小声にしていたにも関わらず聞こえてしまったのだろうか不二の背中がピクリと震えた。しかし話の中心にいる人物たちは気付かない。

「え、…え…!?…いや、…その……。」

真っ赤になってしどろもどろする河村。そんな河村の言葉を待つのは菊丸と桃城だけではない。じっと菊丸に見られて観念したように河村は眉尻を下げた。

「…いや、どこがって言われると難しいけどさ。俺は不二の事は全部好きだよ?俺の頼りない所をカバーしてくれる優しい人だと思う。」

本当に優しそうに河村が言うものだから菊丸は何も言えなくなってしまう。それも本人がいる前で声に配慮も配らずに言うのだ。

「タカさん。騙されてるッスよ…。」
「もーも。」

小さく呟いた桃城の肩にポンと何かが当たる音。それは紛れもなく不二の手だった。にこやかな表情の下に隠れたおぞましいような表情にゴクリと息を飲む。

「…………。」
「…………。」
「…タカさん。帰ろっか?」
「あ、あぁ。」

何も言わない人間と何も言えない人間とでこうも心理状態が違うのだろうか、などと第三者的な事を菊丸が考えている間に不二はカバンを持ち上げて河村に声を掛ける。それに連れられ河村もまたカバンを持ち上げて不二に続いた。

「じゃあ僕ら先に帰るから。お疲れ。」
「お、お疲れ(です)ー……。」

ヒラヒラと手を振りながら部室を出ていく不二と河村。顔を見合わせた菊丸と桃城の耳に入った声は少し遠くで不二が「タカさん。寿司食べたい。」と言っている声だった。




青学テニス部は今日も平和です。






Fin...



リアシュアー⇒reassure:安心させる

ついうっかりタカ不二。
タカ不二ってすごくすごく可愛いと思うんですよね…!私のなかでは綺麗な不二には幸村、可愛い不二にはタカさん、というよくわからないモノが構成されてるようで…。あ、勿論誰とくっついても不二は美味しいんですけどね…!!←



あきゅろす。
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