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───扉を開けるとそこは知らない世界でした───



「アオノセカイのユメノナカマデ」




学園の中に知らない扉があった。普通の教室のドアにはないノブ、薄緑の知らない配列の表記。ただ興味を惹かれた。
中はどうなっているのか、この表記はどこのものなのか、新しい世界に続いている気さえした。


───もしかしたら───



扉をゆっくり開けばただ蒼い空が広がりアスファルトの地面が続いていた。ただ、それだけ。あとは何もない。振り替えって見ても今開けたハズの扉さえなくて、ただ微かに風が吹き続ける。



しかし俺は冷静なもので立ったまま瞳を閉じて世界を感じる。


生きている気配がしない。
生き物がいない、という訳ではない。世界が、生きているような気がしない。

取り残される感覚


ただぽつりと独り立つ感覚



何度も味わった事がある………

これは────


「…………」

ふと微かに聴こえるものがあった。



ピアノ………か……?


今にも泣きそうな気分になる。

探している、仲間を


求めている、俺を

誘われるがまま音色を求めて歩を進めようとした、瞬間──


“────づか───”
「……………!!!」


振り替えってみても何もない。分かっていても振り返りたくなった。誰かが俺を呼んでいた気がしたから。


それは警告か、促しか


しかし何もないのなら確認のしようがない。ただ俺は進むしかない。普段自分がしているように。自分だけの足で自分の道を歩む。

段々と大きくなる音がそれを肯定している。
独りで構わない、自分が強くなれるのならば。

しばらくすると小さな家が立っていた。真っ白な大きな窓がある家。
とにかく入ろうと思うが叶わない。

──玄関が、ない──


しかたなしに窓を覗く。大きな窓なのに何故か中が見えない。音は確実に中から聴こえているはずなのに。

“……だよ…………づか……”


また聞こえる声。


俺を呼ぶのはダレ?

聞き覚えのある声、なのに分からない。
何て言っているか聞き取る事も出来ない。



瞬間、音が大きくなった。声を聞かせまいとするように。それと同時に窓の向こうが透けて見えるようになってくる。


モトメテイル、オレヲ

オレダケヲ


グランドピアノを誰かが弾いている。優雅に、しかし切なく絶望的に。
薄茶色の髪の毛、整った顔、瞳と閉じて音色に浸る彼は……………

「……………不二……?」

何故お前がいる…?
ここは何処だ?
なぜお前はここでピアノを弾いている?
なぜこの家には玄関がない?


……なぜ……???


疑問ばかりが溢れてくる。窓に触れて見ても開け方が解らない。話したい、不二と。聞きたい、色々な事を。

『……………』

不二がピアノを弾きながらちらりとコチラを見て何かを言った。何を言ったかは聞こえなかった。聞こえなかったのに何を言ったか分かる。



──待ってたよ──



その言葉で何かが崩れた




疑問なんてどうでもいい。とにかくお前と話がしたい。

押せば窓は簡単に開きさらにピアノの音色が大きくなる。鼓動とシンクロするように大きくなっては不意に指が止まる。



静寂の部屋の中


ピアノ以外何もない、真っ白な部屋。

「よく来たね」




椅子から立ち上がり楽しそうな表情でピアノに寄りかかったまま俺を見る。俺はただ相手の行動を見るだけ。

「待ってたよ、ずっと」


いつから?


「ずっと……君が生まれてからずっと」


声を出していないのに不二には俺の言葉が解るかのように話続ける。

近づきたい……不二に

ゆっくりと足を動かす


“ダメだよ……手塚……”

「……………!!!!」

後ろからハッキリと聞こえた声。振り替えってもやはり何もないのにそれが空耳などではないと解る。不二の声。

何故?

俺を呼びながら何故お前は止める?


「………ッ…!!!」

後ろから不二の冷たい手が俺の手を掴んだ。

「させないよ……誰にも。君は“オレ”のもの」


俺の瞳を捕らえる不二の漆黒の瞳


いつからお前は自分の事を“オレ”と言うようになった…?

お前の瞳はそんなに黒かったか?

…………お前は……

「……ダレ……??」

手を掴まれたまま動けない。全身を掴まれているような感覚。まるでその言葉を聞きたくなかったというように目付きが冷たくなる。

“僕を………殺して……”


「や……めろ……ッ!!!」

片手で耳を塞いぎ俺を掴む手にはさらに力が入る。
苦しんでいる……コイツは……。不二であって不二ではない。


やっと動いた体をしゃがみ込ませ相手の頬に触れる

「お前は何を求める…?」

「……………」

目線だけで告げられる。俺を求めていると。

お前が望みのなら………


“ダメ………手塚………戻ってきて”


声が響く。
そのたび目の前の不二はヤメロと叫び涙を流す。

出来ない。
例え違うと解っていてもお前を拒絶するなんて、殺すなんて………

お前を抱き締めれば驚いた顔して俺を見るそして重ねられる優しい唇。

「もう……限界……オレのものになってよ」

ツライ、コワイ、コワシタイ


こいつの気持ちが伝わってくる。俺を求める黒すぎる瞳。

惹かれる

惹かれている………コイツに……



不二であって不二でない


確認するように俺からも唇を重ねる

ドウカ下サイ


キミノ全テヲ


血モ、肉モ、

声モ、

魂モ、



存在ヲ.....


聞こえていた警告はいつの間にか消え去り、俺はお前に堕ちてゆく



Fin...










なんなんだこれは(笑)
とにかくパラレルーな感じにしたかったようです。
パラレルって難しいのです。
読むのは大好きなんですがね、パラレルな感じを書くのは苦手です。

しかし色々かきそびれたので連載にしてもいいかなーなんて考えつつ。
幸村を絡ませて幸不二塚とか(笑)

書けそうだなぁ…と

ぐだぐだ感が否めないのはスルーの方向で



あきゅろす。
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