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きっかけは簡単。同じ部活で、同じような存在だと感じたから。厳しい顔もそれに隠れた可愛い微笑みも全部手に入れたいと願ってしまった。

でも、知ってるんだ君には彼女がいるって事。君にとってその彼女が愛しくて大切で仕方がないって事。ねぇ、いつになったらボクに気づいてくれるの?手塚。



『永遠に僕の傍らで...』




「……そうだな」
「…………」
「あぁ……。分かっている」


暗い帰り道。聞こえるのはボクと君の足音に、君の声と微かな電話の向こう側の可愛らしい女の子の声。
学校を出た時は良かった。二人だけの会話。二人だけの時間。ボクが一番嬉しいと感じる時。

だけどその時間は簡単に奪われてしまった。君の携帯に掛って来た一本の電話に。その電話さえなければもっと君との会話を楽しんでいられたのに…。

いや....



彼女さえいなければ───


自分でも歪んだ愛だと思う。でも、もう止められない。
嬉しそうに電話の相手と話す君が....。余りにも強いボクの独占欲が....。


ボクの中に『何か』を作った....。


「………不二?」

不意に足を止めたボクに手塚が話し掛ける。そうやって人を気遣う…。優しいね。だから、ボクに優しくする君がいけないんだよ...?

すっと手塚の持っていた携帯を盗る『待ってるよ!直ぐきてね!!!』その言葉で全てを察する。彼女が手塚に電話した理由。今直ぐ会いたいから。たかが何時間か待っただけなのに…。ボクの方が長い間待ってる。それも恋人の特権なの?

耳から携帯を離しピッと言う音と共に電話を切る

「不二……?どうした?」

俯いたまま黙っているボクを心配するように話しかける。そうやってボクの事だけ考えて、見てくれればいい。

「ふ……!!!」

言いかけた手塚の唇を塞ぐ。もちろん逃がさない為にちゃんと首に腕を回して。手に持っていた携帯がカランと地面に落ちた。

「……っん」

乱暴な口づけ。
じりっと後ろに下がった手塚だけど、後ろの壁にぶつかり行き場をなくす。

「…な、にをするんだ不二!」

腕の力を弱めて唇を離すと真っ赤になった顔を下に向けてボクを突き放す。そうゆう顔もするんだ。「……気づかないの?」

そんな手塚の顔を見て綻びそうになった唇をキュッと引き締める。今は手塚の可愛さに喜んでる時じゃない。

「……何にだ」

俯いていた顔をキッと上げて鋭い目付きでボクを見る。

「今付き合ってる娘って5組の子だよね...?」
「…………」

手塚は答えになってないボクの言葉の続きを待つ。

「その前は女テニの先輩だっけ...?」
「何が言いたい」

冷たい台詞。その感情が彼女を好きだった事を物語る。

「クスッ……輩はフラれたんだよね」
「…………」

少し歪んだ手塚の顔。やっぱり好きな子っていじめたくなっちゃうみたい。わざわざ遠回りになるような言葉を選ぶ。

「同じような事言われなかった...?『好きな人が出来た』みたいに……」
「何故それ……!」

いいかけた所ではっとして手塚が口を手で押さえる。

「『もっと優しい人』『笑顔を絶やさない人』だとか…?」
「不二……まさか」

やっと感付いたのか手塚の瞳に敵意が込められる。

「そうだよ…君の恋人を奪ったのはボク」
「何故だ…?」
「何故??そんなの簡単だよ」

すっと手塚との距離を詰める

「君が………手塚が欲しかったから」
「………は?」

予想外の言葉を言われて固まる手塚

「他の誰にも渡したくない。ボクだけの手塚であって欲しいんだ」
「…………」
「大丈夫。不安な気持ちなんて直ぐなくなるぐらい愛してあげる」

さっきの乱暴な口づけを思わせないぐらい優しく抱き締める。

「だから……今日は行かせない」

いや、今日だけじゃない

明日も明後日もずっと先も...

これからは永遠に....


Fin












なんていうか…はい。初めて書いたBL作品はこれなんです。初書き故の未熟さ!だったらいいな…なんて(爆)




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