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暗い空
雨は激しく降ってきて、練習をしていた俺たちは中断せざるを得なくなった。
俺は雨の中、軽コートの見回りを終わらせて部室に戻ると不二が『お疲れ様』とタオルを渡してくれた。

「ありがとう」

部室には不二以外誰もいない。おそらく帰宅したのだろう。

「越前との試合、随分楽しそうだったな。」
「ん?そうだね…楽しかったよ。すごく」

ベンチに座りながら笑う不二。その笑みは心底そう思っている挑戦的な笑み。

「どんなに突き放してもあっという間に追い付いてくる……。こんなスリル、滅多に味わえないよ」
「……………」

俺は何も言えなかった。何かよく分からない感情が渦巻いて、ただ何も感じていないフリをするしか出来ない。

「何故……」
「え?」
「何故本気をださないんだ?」

俺の質問にきょとんとした表情をする不二。

「乾から聞いた。お前のデータはとれないと。」
「あぁ…試合に勝ちたいと思わないんだ。スリルだけを求めてしまう……」
「……………」
「支障が出るなら僕を団体戦のメンバーから外してくれ」

不服そうな俺の表情を見てか、不二はそう言いながら悲しそうに微笑んだ。

違う。
俺がこんな表情をしたのはお前が『試合に勝ちたいと思ってない』と言った事に対してではない。
俺は……。

俺は……。


「手塚?泣いてるの?」

気付くと不二が不思議そうに俺を見上げていた。

泣いてる??俺が?

「どうしたの?」

すっとベンチから立ち、不二が俺の涙を拭いた。

「……わからない。ただ、嫌だったんだ…」
「………」
「楽しそうに試合をするお前が……。俺と試合をする時より楽しそうに試合をする…お前が…………。」

恥ずかしい…。こんな事で泣いてしまう自分が。
でも、自分では自分が制御出来なくて、涙が溢れていくのを止められない。

「手塚……」

すると不意に不二に引き寄せられた。俺の顔の前に不二の肩がある。

「……バカだね君は」
「なっ…!」
「バカだよ…。越前にヤキモチ妬くなんて」

ヤキモチ…。
あぁ…そうか、ヤキモチ……。

「ヤキモチだと!??」

ガバッと不二の肩から顔を上げた。

「うん。違うの?」

一方不二は楽しそうにクスクス笑っている。

「いや、違う…事は、、ない、と思うが…。いや、しかし……」

口ごもる俺を再び不二が抱き締めた。

「手塚、強すぎるんだもん。試合を楽しむ以前にすぐ終わっちゃうよ」
「……すまない」
「クス…なんで謝るの?そのかわり手塚は違う事で僕を楽しませてくれるんでしょ?」

そう不二が言い終わると俺が理解する前に唇を塞がれた。
甘く深く、そして優しく。

少し苦しくなってきたところで、それを分かってか不二が唇を離した。

「ごめんね。ヤキモチ妬かせちゃって。でも嬉しかったよ。ありがとう」

空は雨。
煩い音の中、不二の声と自分の鼓動の音がやけにしっかりと聞こえた。


fin...













おまたせいたしました!
1400hits弓月様リクのヤキモチ手塚!
ヤキモチになってますかね;;

というか弓月様に許可を頂き、こちらを先にUPさせて頂きました。
申し訳ないです;;


いや、しかしこれは…なんと言うか。
すみません。スランプなのでしょうか?
いや、いつも駄文しか書いてませんが(笑)

こんなんで良ければ貰ってやって下さい!





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