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ゴミ箱
ポチ
「マスター、お腹すきました」
「…そう」
「……マスター」
「何?」
「お腹がすきました」

へえ……アンドロイドってお腹すくんだ…

機械的な訴えに上の空な思考が揺れ、わずかな興味が沸いた。だがそれもすぐに霧散されてしまう。今考えるべきことは、どうやってこのロボットを返品するかということだ。

「マスター、私は返品できません」
「…?」
「失礼ながらマスターの思考を読み取らせていただきました。」
「…それは、とてもプライバシーの侵害だね」
「マスター」
「何だい?」
「何故私を返品しようとお考えになるのですか?」

アンドロイドが何の感情も窺わせない表情で、しかし些か強めの語調で尋ねた。
責めているのだろうか。一度購入し、名前までつけたアンドロイドを返品するのかと。
しかしそれは不可抗力なのだ。

このアンドロイドが家に届いたのは昨日の晩の事だった。
会社の上司の付き合いで飲みに行き、自慢と愚痴につき合わされたあげく、完全に泥酔状態の上司を運んでタクシーまで乗せたりと色々疲れていた。
それに断れども断れども進めてくる酒がいけなかった。弱いのはわかっていたのにあまりのしつこさに少しならいいか…と飲んでしまったのだ。
正常な思考状態ではなかった。そうだ。だから家に帰り大きなダンボールがあっても気にならなかった。中から人の形をしたものがでてきても全然。名前をつけろといわれて言われるがままつけた私に何の責任が…責任……あるのだろうか。
しかしこんなものを購入した覚えはない。……多分、きっと。




あきゅろす。
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