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一睡の夢
序話

―――Bygone days

「そう、…ほらほら目を閉じて」

「ああ、ちょうどさっき見つかったところだ。これだろ?…な、ぴったりだ」

「痛くなんてないさ。だって――――――」


 指先がまるで魔法をかけるようにするすると動くのを俺は見ていた。

 痛覚など感じないとわかっていても思わず顔を顰めれば、おもしろそうに笑われた。

 人と話すこと自体が久しぶりだった。

 そのせいか、その笑い声さえもひどく心地よく感じられた。


「ほらできた」

 恐る恐る見回して、俺は歓喜した。

 そこには変わらない『俺』の形があったからだ。

「…ありがとう」

 久しぶりに出たのは、かすれた自分の声。

 その人は、悪戯が成功した子供のようににやりと笑った。

「思うのは誰でも同じさ、ただ、死者は安らかであれ」


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