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28-6
出てすぐにスザクと視線がぶつかったが、言葉なくポカンとされて空は困惑する。
ユーフェミアが怒ったように腰に手を当てた。

「スザク。
黙ってたら分かりませんよ。
思ったことを言ってください」
「ご、ごめん…。
すごくきれいで…つい」

夢を見てるように、スザクはぼんやり呟いた。
満足したようにユーフェミアは頷く。

「私、最初から分かってました。
スザクもきっと気に入ってくれるって。
…あら?
ソラ、その首から下げてるペンダント……最初から持っていたもの?」
「ううん。
最近もらったんだよ」

聞いた途端、ユーフェミアの目の色が変わった。

「それは前に話してくださった方からの贈り物ですね?」

疑問形だが、確信を持った声音だった。
スザクは完璧心当たりがあり、ハッとする。

「空、もしかしてそれ…」
「うん、そうだよ。
この前、大切な人にもらった」

ペンダントを首から外して、フタを開いて曲を流す。

「ほら、オルゴールになってるんだ」

柔らかい音色が二人の耳にも届く。
心地よさそうに曲を聞くスザクとは違い、ユーフェミアは驚きに言葉を失っていた。
どうしたんだろうと空は不思議がる。

「………ソラ。
私この曲をどこかで聞いたのを覚えてます…」

自信が無い小さな呟き。
ユーフェミアは思い出そうとするも、そこで軍服を着た巨漢の男が現れたことで彼女の意識はそちらに向いてしまった。

「ユーフェミア様、お時間です」

威厳のある渋い声。
戦場で受けたであろう傷が痛々しく残る顔は、空にとって覚えがあった。
コーネリアの最も近くにいる軍人の一人だ。
名前はアンドレアス・ダールトン。

「そちらのお嬢様がユーフェミア様のご友人ですね?」

視線を向けられただけで空は緊張する。
反射的にビシッと背筋を正した。

「は、はい!
空と申します!
本日はよろしくお願いします!!」

腹から出した声に驚いたのか、ダールトンは目を丸くした。
ユーフェミアがくすぐったそうに笑う。

「ソラ。
あなたは私にとっての大切なお客様よ?
そう固くならないで」

ユーフェミアの笑顔にダールトンの表情も柔らかくなった。

「ユーフェミア様のおっしゃる通りです。
どうぞ楽にして下さい。
申し遅れましたが、私はアンドレアス・ダールトン。
叙任式は謁見の間で行われます。
どうぞこちらへ」

声が優しくて、空の緊張は自然と解けた。





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