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28-3
ルルーシュとC.C.は共に騎士団へ。
空とスザクは政庁へ。

到着してすぐ、ユーフェミアが用意した書状をブリタニアの軍人に見せることになったが、返ってきたのは胡散臭いと言いたげな視線だった。
彼女が心を込めてサインしたはずなのに。
不審がるのは自分が日本人だからだろう。
怒りよりも悲しみのほうが強かった。
軍人の視線から空を守ったのはスザク。
前に出て、強い眼差しで相手を見据える。

「この手紙はユーフェミア皇女殿下が彼女に宛てたものです。
それを疑うのは不敬罪にあたりますよ」

ここで追い返せばどうなるか分からないほど彼らは愚かではなかった。
無言で道を譲る。
スザクは空の手を引き、政庁内に足を踏み入れた。

「―――ありがとう、スザク」
「ユフィの空を思う気持ちが踏みにじられた気がして嫌だったんだ」

そう話すスザクの背中は大きくて、生徒会にいるスザクとは違った力強さがあった。
歩き続けた末、ユーフェミアがいるであろう部屋の前へと到着する。
扉は閉まっていて、中がどうなっているかは分からなかった。

「ノッックして入って欲しいってユフィが。
僕はやらなきゃいけないことがあるからまた後で戻るね」

そう告げ、スザクは足早でその場を後にした。

遠くなるスザクの背中を見送ってから、空は扉へと視線を移す。

もうすぐでユフィに会えるんだと実感した途端、ジワッと目頭が熱くなった。
会う前からこれではダメだと、空は両頬を力を込めてパンと叩く。
心の準備ができてから、空は扉をノックしてからノブを捻った。
緊張からか、押し開ける扉が重く感じる。

扉の先には陽が差し込む部屋が広がっていた。
奥に横長の机が一つ、傍らにはブリタニアの国旗が立てられている。
副総督として過ごしているであろう執務室で、ユーフェミアが笑顔で待っていた。

「ソラ、会いたかった」

ユーフェミアの声は涙を帯びていて、彼女は恥ずかしそうに目を拭う。

「やだなぁ…泣かないって決めたのに」

涙が止まらないのか、ユーフェミアはハンカチを出して目を押さえた。
顔を隠しているように思えて空は苦笑する。
つられ泣きで空の瞳にも涙が浮かんだ。
「あたしも同じだよ、ユフィ」

ユーフェミアはハンカチから顔を上げ、より一層目をうるませた。

「よかった。
私、すごく不安で…。
こんな形でソラをここに呼んでよかったのかってずっと不安だったの」
「そんなこと思わないでよ。
ユフィが手紙をくれたからあたしはここへ来れたんだよ?
ありがとう、ユフィ。
こうやって会えてよかった」

不安に雲っていたユーフェミアの表情も、空の言葉で笑顔を取り戻した。

「本当に。
こうやって会えて本当によかった。
最後にソラに会ったのはいつかしら?
ずっとずっと前のように思えるわ」

ユーフェミアの言葉に空は頷いた。
最後に会ったのはナリタ連山の日だ。
何ヶ月も会っていないことになる。

ユーフェミアが何かを求めるような子供の目で空をジッと見つめる。
何を求めているか気づいた空は、おかしくなって小さく笑い、すぐに両手を広げた。

「いいよ、ユフィ」

ユーフェミアの顔がパッと明るくなった。
我慢してたのか、飛び込む形で空に抱き着く。

「ずっとこうしたかったの」

抱きしめてくれるユーフェミアには心地いい温度があった。
その温度を感じられたのは現実だからこそ。
空は会えてよかったと心の底から思えた。

抱きしめて間もなく、ユーフェミアは空から身体を離した。
大切なことを思い出したように、凛とした表情を空に向ける。

「ソラ。
今日は大切な事を伝えたくてあなたを呼んだの。
エリア11の人々よりも先に、ソラに知ってほしかった」

ユーフェミアの面持ちには真剣さも帯びていて、空の表情が緊張で強張った。

「ソラは“騎士”という名を知ってますか?」



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