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熱視線
熱視線



熱視線


「・・・・・・っ」
暗い水底から一気に水面へと押し上げられたように、目が覚めると酷い頭痛を感じた。
キーンと鳴り響く耳鳴りに顔を顰めながら身体を動かすと、何かに縛られているように身動きが取れず、しかも目を開いているはずなのに視界は真っ暗だった。
「・・・・・・?」
身体を捩って、晃は自分が拘束されていると気付いた。
両手は頭上で何かに固定され、腕を動かしてもびくともしない。
そして目隠しをされているせいで自分が今どこに寝かされているのかも分からなかった。
どこかまだぼんやりとした頭で晃は記憶を辿る。
今日は会社の親睦会で勧められるままに酒を飲み、かなり酔っ払ったのは覚えている。
同じ課の同期達と一緒に店を出て、2次会に行ったような気がするが最初の店を出てからの記憶が全くなかった。
一体どうゆうことなのか、ここはどこなのか分からないままに呆然としていた晃は、ふと自分以外の誰かの気配を感じて身体を強張らせ息を潜めた。
「・・・・・・・」
誰かがすぐそこにいる。
晃と同じように息を潜め、じっとこちらを見つめている視線を強く体中に感じた。
気味が悪くて、そしてこれから一体どうなるのかと思うとドクドクと心臓が早鐘のように鳴り、恐怖に浅い息を繰り返した。
見えないまま体中の神経を集中させて耳を澄ませると、微かに相手の息遣いを感じる。
晃も、そしてすぐ傍にいる誰かも身体を強張らせじっと互いの動きを息を潜めて窺っているように思えた。
足をそっと動かして、晃は自分がどうやら何も着ていないことに気付く。
素肌に直接空気が触れる感触。
ゾッとして奥歯を噛み締めると、見えない誰かが動く気配がした。
「・・・・・誰だ、あんた誰なんだ。 これは一体どういうことなんだ! 俺に何をっ・・・・」
柔らかいベッドが小さく揺れ、軋む音が聞こえた。
どうやら晃の足元に誰かがいるらしい、だが相手は一言も答えずじわりじわりと近づいてくる。
「頼む・・・・、腕を外してくれ・・・・。 一体何が目的なんだっ! 誰なんだよ!」
ベッドが揺れ、軋みと共に何かが這い上がってくる。
「ひっ・・・・・」
足先に、冷たい誰かの指先が触れた。
ビクリと足を引っ込めると、追いかけてきた手が足首を掴んで引き寄せた。
「嫌だっ・・・・! 離せっ」
掴まれた感触で、相手が男であることが分かる。
力強い手が晃の足首を掴んだまま、ふくらはぎの辺りをもう片方の手が撫でた。
ぞわりと鳥肌が立って、掴まれたまま蹴り飛ばそうとするが強く掴まれた足は動かせなかった。
「なんだよ・・・・、何がしたいんだ・・・・・」
縛られた腕と、見えない目が更に恐怖を煽り、普段の強気な姿勢など消えうせて晃は男に懇願した。
「頼むから・・・・、離してくれ・・・・。 頼む・・・」
震える体のまま涙声で言う晃をまるで宥めるように、ふくらはぎから太腿へと手が這い、酷く優しい仕草で撫でた。
そして太腿の内側に、濡れた何かが押し付けられる。
「っ・・・・・・」
ぴちゃりと、太腿が舌で舐め上げられる。
味わうようなその動きに晃の唇が戦慄く。
そして舌はそのまま肌を伝って足の付け根を這い、縮こまった晃のペニスへとたどり着いた。
「ヒッ・・・・・」
ここにきて晃は相手の目的が何であるかに気付いて顔を青褪めさせた。
男の口に晃のペニスが飲み込まれてゆく。
「やめろっ! やめてくれっ・・・! 嫌だ・・・・っ」
27年間生きてきて男に襲われたことなど一度もない。
ノーマルに生きてきたわけでもないが、男と寝たのはこれまで全て合意の上だった。
ただ晃は男も女も愛せる性癖だったから、あえて男と真面目に付き合うことはなかったが、男でも女と同じように愛せるし愛されることは可能だった。
だけどこんな風に誰とも分からない相手に知らないうちに連れ込まれ縛られ犯されるなど絶対に嫌だ。
「離せっ・・・・・!」
足の間に入り込んだ男を足で跳ね除けようとして、だが逆に両足を強い力で掴まれて広げられる。
男が身体を更に入り込ませ、硬い何かを押し付けてきた。
「っ・・・・! やめろ! 頼むからやめてくれっ・・・・!」
ぬるりと尖端が濡れている、男が晃の中に侵入してくるためにジェルかなにかを塗っているのだろう。
先走りとも違うそのぬめりが、晃の後ろを濡らした。
ぐっと押し込まれ、男の太い尖端が蕾を割って入ってくる。
「っ・・・・! いっ・・・・ぅ」
ぎちぎちと拡げながら挿入してくるそれは酷く太くて、熱かった。
「嫌だ・・・・・っ、いっ・・・あ!」
男が晃の腰を掴み、ぐんぐんと中へと押し入ってくる。
こんな風に誰かを受け入れたのは久しぶりで、しかも慣らすこともされていない後秘は裂け、拷問のような痛みを晃に与えた。
「痛い・・・・・、もう・・・やめてくれ・・・・」
裂かれる痛みと、知らない男に犯される惨めさに涙が浮かぶ。
縛られた腕も、無理矢理に捻じ込まれた後ろもどこもかしこも痛くて晃は男に縋るような声音で許しを請う。
すると不意にきつく腰を掴んでいた手が離れ、頬に触れた。
「・・・・・やめてくれっ。 頼む・・・、痛いんだ・・・・・」
ふわりと、酷くこの場には不似合いはほど男の手は優しく晃の頬を撫でる。
だがそれでも男は晃の中からは退こうとはせず、腰を進めてきた。
「っ・・・あ!」
男の手が頬を撫で、髪を撫で、舌が咽喉元を這う。
唇が押し当てられ強く吸われて、小さな痛みを感じた。
顔中、そして首筋から鎖骨まで丹念に男の唇が落とされる。
まるで愛しい愛しいと告げているような動きに、晃は唇を震わせた。




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