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不可解な熱
9


気が向いた時にと言いながら、加賀谷は毎日のように諒を呼び出し、嫌がる諒を無理やり組み敷いた。
従わなければお前が同性愛者だと周りにばらすと言われ、諒は泣きながら加賀谷と身体を重ねる。
あの時、伝えたとしても加賀谷がそんな事を言い出すとは露ほども思っていなかった。
気持ち悪がっても、加賀谷はそんな事はしないと信頼もしていた。
「大人しくて良い子ちゃんのお前がこうして男のものをしゃぶる姿なんてそうそう見られたものじゃないよな・・・。」
会社とは全く違った顔で加賀谷は諒をいたぶる。
冷たくて蔑んだ目の中にどこか痛みを感じて諒は堪らなくなる。
知らなかった加賀谷の別の顔を見せ付けられる度に胸が締め付けられ、何故か諒は加賀谷を抱き締めて包み込みたい衝動に駆られる。
だが同時に底なし沼のような今の関係が悲しくて逃げ出したくなる。
「まだ俺を好きだと思うか?こんな目に合わされて、お前プライドないのか?」
暗く哂いながら諒の顎を掴み、下唇を舐めあげる。
毎日のように呼び出される加賀谷の部屋。
慣れ親しんだ加賀谷の香り。
あのフロアでのレイプから二週間、諒はどうする事も出来ずにまた加賀谷に抱かれる。
「んっ・・・・・あっ・・・・!」
加賀谷は初めての時のように無理やりではあったが、あれ以来傷を付けるような抱き方はしなかった。
反対に開発するようにじっくりと諒の身体を慣らした。
諒の身体にはもう加賀谷が触れていない部分はない。
「もういいか・・・・。」
後ろに挿れた指を引き抜き、加賀谷はゆっくりとペニスを埋めていく。
慣らされて開かれた蕾は加賀谷を誘うように蠢き、その動きに諒は顔を赤らめた。
「中が締め付けてるぞ・・・・、気持ち良いのか?」
痛みはもう感じない。
変わりにむずむずとした感覚が下半身から甘く昇ってくる。
嫌だと思いながらも感じてしまう体に諒は泣きたくなった。
「俺が好きか・・・?辱められて犯されても・・・、好きか?」
加賀谷は行為の最中何度もそう呟く。
まるで諒の気持ちを確認するように何度も何度も答えを求めた。
「す・・・き、でも・・・こんなのは・・・嫌・・・。」
泣きながら答えると安心したように諒の身体を抱き締めて貪った。
意味の分からない今の関係。
加賀谷がどうしたいのか、そして自分はどうしたいのかも分からない。
自分のような男を抱く加賀谷の真意も掴めなくて、諒は身動きが出来なかった。
今でも好きだと思う。
どうしてこんな目に合わされながらもと自分の馬鹿さ加減に嫌気がする。
だけど肌を合わせる度に加賀谷自身さえ気づいていない闇や寂しさが諒を絡めとり、逃げ出す事を躊躇させる。
嫌いにもなれず、突き放しもしてくれない加賀谷との情事は、諒の心を疲れさせていった。




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あきゅろす。
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