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不可解な熱
7


明るくて優しくて誰にでも平等で。
誰からも認められた出来る男。
諒は自分が加賀谷と言う男の表面しか見えていなかったことを痛感した。
会社で見る爽やかで温かな顔は消え去り、獰猛で人を人とも思わない野獣のような歪んだ顔で諒を追い詰めていく。
「好きだ、なんて何も知らずによく言えるよな。俺の何をお前が知ってると言うんだ。お前までが俺の上辺だけを見て恋だ愛だの言うのか?」
絨毯の敷き詰められたフロアの床に両手を押さえられて倒され、諒の上に馬乗りになって加賀谷は暗く哂った。
何が起こっているのか把握できていない諒の強張った顔に加賀谷の冷たい指先が触れる。
「お前は他の人間と違って俺を純粋に先輩として慕ってくれていると思っていた。だがお前も所詮他の人間と一緒だ、何も知らないくせに俺を好きだと・・・?なら、こんな事をされても好きだなんてほざけるのか?」
加賀谷は自分のネクタイを外し、諒の両手に巻き付けて縛り上げた。
「・・・な・・・・何・・・?」
加賀谷の変貌に青褪めた諒を冷たい目で見据えたまま、加賀谷は諒のズボンを一気に引き抜いた。
下半身が露になり、諒は寒気を感じて震えた。
「お前の欲しかったものをくれてやるよ、これが欲しかったんだろ。」
強張った諒の体の上に圧し掛かり、加賀谷は猛った自身を取り出し、固い蕾に押し当てた。
「か・・・加賀谷さんっ・・・!?やめて下さい!嫌だ・・・!」
恐怖に暴れる諒に加賀谷は舌打ちして、腰を強く掴み一気に身体を進めた。
「・・・・・!!」
乾いた蕾は加賀谷をすんなり受け入れるわけもなく、ぎちぎちと裂かれていく痛みに諒は我を忘れて叫んだ。
加賀谷自身痛みを感じるのだろう、顰めた眉と額に浮かんだ汗がそれを示していた。
途中まで入った加賀谷の猛りは内壁に拒まれ、それ以上進むと加賀谷自身傷つきそうだ。
「い・・・痛い。か・・・加賀谷さ・・・、お願い・・・。抜いてっ・・・。」
尻の方に何かが垂れてくる感触に、諒は血が流れている事を知った。
痛みと悲しさが諒の中でぐるぐると回り、これは夢だと自分に言い聞かせる。
こんな加賀谷は知らない。
まるで諒を憎んでいるかのような加賀谷の目。
無理やり犯されている事を直視したくなくて諒は目を固く瞑った。
「血が流れてるな・・・・、だがこれで滑りが良くなった。」
無情にそう言って加賀谷は昂ぶったものを諒の最奥まで突きたてた。
「いや・・・・!あああああっ・・・・・!!」
頭が痛みに真っ白になり、一瞬意識が遠のいた。
だがすぐにそれ以上の痛みを感じて諒は呻いた。
「やめてっ・・・!い・・・・痛いっ・・・・・。」
こんな暴力は何なのだろう。
自分は何故こんな目に合っているのか。
自分の何がここまで加賀谷を激昂させたのか諒は分からなかった。
ただ好きだと伝えたかった。
気持ち悪がられたり、避けられたりする事は覚悟していたけれど。
こんな事は想像すらしていなかった。
「お前が欲しかったのはこれだろう?俺に抱かれたかったんだろ。満足か?俺から欲しかったのはこれだけだろう!!」
抱かれたいなどと思っていたわけはない。
報われる事などないと、叶う事などないと思っていた。
欲しかったのはこんな物じゃ・・・・・ない。
「ち・・・・がう・・・。僕・・・・・・、違う・・・・。」
揺さぶられ、引き裂かれる痛みに耐えながら諒はうわ言のようにそう繰り返した。



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